公務員試験 H24年 国家専門職(食品衛生監視員) No.4毒性学Ⅰ(1)解説

 問 題     

Ⅰ. 以下の問いに答えよ。
⑴ 化学物質の毒性に関する次の記述のうち最も妥当なものの番号を一つ記せ。

① 平成20年1月頃に、千葉県や兵庫県で発生した中国産冷凍餃子による食中毒はカルバメート系農薬が原因であった。

② サキシトキシンによる中毒は主に下痢症状を示す。

③ サリドマイドを妊娠初期に服用すると、胎児の四肢等に重い障害が発生するケースが認められた。

④ 残留農薬の ADI (1日許容摂取量) は、実際に農作物に農薬を噴霧等した際の残留量から求められる。

⑤ アフラトキシン B1 の発がん性はシトクロム P450 により不活性化される。

 

 

 

 

 

 解 説     

① ですが
冷凍餃子による食中毒の原因は、メタミドホスやジクロルボスです。これらは有機リン系です。カルバメート系ではありません。よって、①は誤りです。

② ですが
サキシトキシンといえば麻痺性貝毒の一種です。下痢症状ではありません。よって、② は誤りです。

③ は、正しい記述です。
アザラシ肢症についての記述です。

④ ですが
ADI は、まず動物実験の結果、NOAEL(No Observed Adverse Effect Level:無毒性量)を定めます。その後種差を考慮した安全係数で割って求めます農薬を噴霧等した残留量から求めるわけではありません。よって、④は誤りです。

⑤ ですが
アフラトキシン B1 の発がん性はシトクロム P450 によるエポキシ化によって活性化されることが知られています。不活性化ではありません。よって、⑤は誤りです。

以上より、正解は ③です。

参考)

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