公務員試験 H24年 国家専門職(食品衛生監視員) No.3微生物学Ⅱ(1)解説

 問 題     

以下の問いに答えよ。

⑴ 次の有害微生物に関する記述 ア ~ オ に合致する微生物の名称をそれぞれ記せ。

ア 大腸粘膜上皮細胞に定着して増殖し、腸粘膜の水分吸収阻害による下痢や腸内で産生された志賀毒素による種々の細胞障害を起こす。

イ グラム陰性通性嫌気性の桿菌で、通常1本の毛をもつ。好塩性で至適食塩濃度は2~3%である。本微生物による食中毒は海産魚介類の生食が原因となることが多く経口摂取後3~40時間の潜伏期の後上腹部痛悪寒嘔吐37~38°C の発熱水様性下痢の症状を起こす。

ウ 自然界に広く分布し、家畜や家きんに重篤な下痢敗血症を引き起こすものもある。本微生物による食中毒の主な原因食品は、食肉食鳥肉卵などの畜産食品であり経口摂取後,6~48時間の潜伏期の後下痢腹痛発熱の症状を起こす。

エ 健康人の30~40%が保菌しており、その他各種動物の体表・腸管内にも常在している。牛の乳房炎の代表的な起因菌である。我が国での本微生物による食中毒はにぎりめしなどの穀類加工品や複合調理加工品が多い。2000年には低脂肪乳などによる大規模な食中毒が発生している。

オ 主に動物の腸内や環境中に生息している。本微生物による食中毒における潜伏期は、他の微生物による食中毒の潜伏期より長く通常2~5日場合によっては10日に及ぶ。市販鶏肉の50%以上は本微生物によって汚染されているとされており、生又は加熱不十分な食肉の喫食による食中毒も少なくない。

 

 

 

 

 

 解 説     

記述 ア ですが
「大腸・・・に定着して増殖」「志賀毒素による」とあるので腸管出血性大腸菌と考えられます。

記述 イ ですが
「好塩性」でほぼ確定ですが、グラム陰性、桿菌、通常 1 本のべん毛確定します。腸炎ビブリオです。

記述 ウ ですが
主な原因が鶏肉、卵ほぼサルモネラ菌と確定します。家畜等に重篤な下痢敗血症を引き起こすことがある という点を補足事項としておさえておくとよいです。

記述 エ ですが
常在菌の一種で、おにぎりなどによる食中毒の原因菌といえば黄色ブドウ球菌です。

記述 オ ですが
潜伏期が相対的に長く生や加熱不十分が問題となる食中毒の原因菌といえばカンピロバクターです。

以上より
ア 腸管出血性大腸菌
イ 腸炎ビブリオ
ウ サルモネラ菌
エ 黄色ブドウ球菌
オ カンピロバクター です。

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