公務員試験 H24年 国家専門職(教養) No.38解説

 問 題     

法の下の平等に関するA~Dの記述のうち妥当なもののみを挙げているのはどれか。

A:明治憲法には平等原則に関する一般的な規定は設けられていなかったが日本国憲法はすべての国民が法の下に平等であるとの基本原則を定めるとともに個別的に華族制度などの貴族制度の禁止栄典に伴う特権の禁止教育の機会均等などの規定を設けて平等原則を様々な面において保障している。

B:日本国憲法は女性の地位について個人としても家族生活でも男女の平等を規定している。法律のレベルでは男女雇用機会均等法や男女共同参画社会基本法が男女の実質的平等の実現に向けた規定を設けている。また最高裁判所は女子の定年年齢を男子より低く定めた私企業の男女別定年制を性別のみによる不合理な差別であるとして無効としている。

C:議員定数の不均衡の合憲性は訴訟で度々争われており最高裁判所は各選挙人の投票価値の平等は憲法が保障するものとの立場をとっているが平成21年8月に施行された衆議院選挙の違憲無効が争われた訴訟においては人口の少ない地方における定数の急激な減少への配慮という一人別枠方式の合理性は失われていないとして合憲状態にあるとし当該選挙を有効とした。

D:憲法の定める平等原則は原則として日本国民に適用されるものであり日本国籍の取得には,本人と我が国社会との密接な結び付きが求められることから国籍法は日本国民である父と日本国民でない母の間に生まれ生後認知を受けた非嫡出子についてはその父母の婚姻が成立し嫡出子となった場合に限って日本国籍の取得を認めている。

  1. A B
  2. A C
  3. B C
  4. B D
  5. C D

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説     

記述 A,B は妥当です。

記述 C ですが、一票の価値に関する訴訟において、最高裁は「違憲状態」と判断しました。よって、記述 C は妥当ではありません。

記述 D ですが、「婚外子国籍訴訟」において最高裁は、このような規定は非合理的として、法令違憲と判断しました。よって、記述 D は妥当ではありません。

以上より、正解は 1 です。

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