公務員試験 H24年 国家一般職(化学) No.26解説

 問 題     

金属イオン M と配位子 A は、水溶液中で錯体 MA を生成する。水溶液中のMA の生成定数(安定度定数)は 1.0× 109 L/mol である。

いま、M の濃度が 0.20 mol/L の水溶液 1.0 L と、A の濃度が 0.20 mol/L の水溶液 1.0 L を混合した。得られた 2.0 L の水溶液中で、遊離しているM の濃度はおよそいくらか。なお M や A の電荷は省略している。

  1. 5.0× 10-11mol/L
  2. 1.0× 10-10mol/L
  3. 2.0× 10-8mol/L
  4. 1.0× 10-5mol/L
  5. 1.4× 10-4mol/L

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

M+A ⇄ MA で平衡状態において、生成定数(安定度定数)を K とおけば

と表すことができます。

混合前と平衡状態において、M、A、MA の量的関係は、平衡状態における MA の物質量を 2x mol とおけば、以下のようにまとめることができます。※溶液を混合すると 2L になることから、計算の都合上 2x とおいています。もちろん x でもかまいません。

そして、必要なのは平衡状態の「濃度」なので 2(L) で物質量を割るとそれぞれ

とまとめることができます。

本問で問われているのは、平衡状態における[M]なので[M]を改めて X とおきます。すると 0.1 – x = X なので、x = 0.1 – X です。X を用いて改めて濃度をまとめたものが、以下になります。

生成定数の式に代入すると

です。

選択肢より、X は 0.1 よりはるかに小さいとわかります。つまり、0.1 >> X なので、0.1 – X ≒ 0.1 と近似できます。すると、0.1/X2 = 1.0×109 です。両辺に 10 をかければ1/X2 = 1.0 × 1010 となります。よって、X = 1.0 × 10-5 です。

以上より、正解は 4 です。

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