公務員試験 H24年 国家一般職(教養) No.35解説

 問 題     

世界各地の歴史的建造物又は遺跡に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1:Aは14世紀にメキシコ高原を支配したインカ帝国時代に築かれたものである。インカ帝国では太陽が崇拝され太陽を祀るピラミッドが建造された。また独自の絵文字が用いられ高度な石造建築の技術をもっていたが15世紀にスペイン人のコルテスによって滅ぼされた。

2:Bを建造したスレイマン1世はオスマン帝国最盛期のスルタンで南イラク北アフリカに支配を広げヨーロッパ方面ではハンガリーの征服後ウィーンを包囲してヨーロッパ諸国に脅威を与えた。さらにプレヴェザの海戦でスペインなどを破り地中海の制海権を手中にした。

3:Cを建造したムガル帝国の皇帝アクバルはヒンドゥー教とイスラーム教の融和を図りイスラーム教徒に課された人頭税(ジズヤ)を廃止する策をとったが両者の対立は収まらず18世紀にはプラッシーの戦いに至った。この戦いで国力を失ったムガル帝国は18世紀中ごろにイギリスの植民地となった。

4:Dはロシアが18世紀半ばのクリミア戦争に勝利したことを記念し雷帝と呼ばれたエカチェリーナ2世によってサンクトペテルブルクに建造された。エカチェリーナ2世は貴族をおさえて専制政治の基礎を固めるとともに農奴制を強化しシベリアを領土に組み込み清朝とネルチンスク条約を結んだ。

5:Eはアンリ4世によって建造された。アンリ4世は宰相にマザランを登用して大貴族やユグノーと呼ばれる旧教徒の勢力をおさえ三部会を停止するとともに徹底した重商主義政策をとって国庫の充実を図った。ユグノーの抵抗は後のルイ14世がナントの勅令を発してユグノーに信仰の自由を認めるまで続いた。

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説     

選択肢 1 ですが、マチュピチュは、15C 頃に、アンデスに栄えたインカ帝国の遺産です。1文目の記述はアステカ帝国についてです。コルテスにより滅ぼされたのもアステカ帝国です。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 は、正しい記述です。

選択肢 3 ですが、タージマハルは、ムガル帝国第5代目皇帝のジャハーンさんが、亡き妻のために作りました。アクバルさんは3代目の皇帝で、ヒンドゥーとの融和の基礎作りを行った皇帝です。ちなみにムガル帝国は、インド史上最大のイスラーム国家です。

選択肢 4 ですが、雷帝は、イワン4世です。この人の戦勝記念でモスクワに作られました。

選択肢 5 ですが、ヴェルサイユ宮殿は、ルイ14世によって作られました。アンリ4世ではありません。

以上より、正解は 2 です。

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