公務員試験 H29年 国家一般職(農学) No.6解説

 問 題     

我が国の施設栽培に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.施設栽培は,作期,作目・品種の選択の幅が広がり,年間の栽培回数を増やすことによって,単位収量当たりの生産コストを露地栽培と比較して低くすることができる。また,好適環境を維持することによって,日本全国で同一水準の収量・品質の作物が生産されている。

2.植被のある地表面付近における標準的な二酸化炭素濃度は,植物の光合成あるいは呼吸により,昼間は高く,夜は低くなる。植物の光合成や呼吸活性の変化に伴う二酸化炭素濃度の変動は,施設内より屋外の方が大きい。

3.設備や使用方法が簡単なため,重油を燃料にして直接的に空気を加熱する温風暖房方式が普及している。ただし,配風ダクトなどを用いて温風を施設内に均一に行き渡らせないと気温のむらが生じやすい。

4.施設内の冷房には,吸気口から入る外気に細霧を噴霧して,水が蒸発するときに周囲の空気から熱を奪う凝縮熱を利用した蒸発冷却法を用いる場合が多い。この方法では,理論的には施設内の気温を水温まで低下させることができる。

5.二酸化炭素の供給方法には,灯油を燃焼させる方法,液化天然ガスを気化させる方法がある。最も利用されているのはコストが安価な灯油燃焼方式であるが,不完全燃焼により有毒ガスであるメタンが発生するおそれがあるため,注意が必要とされている。

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説     

選択肢 1 ですが
施設栽培はコストが露地栽培と比較すると高くかかります。よって、選択肢 1 は誤りと考えられます。

選択肢 2 ですが
光合成は CO2 を原料に、デンプンと 酸素を合成する反応です。よって、光合成により昼間は CO2 濃度が「低い」と考えられます。また、より閉鎖している施設内の方が変動が大きいと思われます。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 は妥当な記述です。

選択肢 4 ですが
水が蒸発する時に熱を奪うのは「気化熱」です。凝縮熱ではありません。よって、選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
灯油で不完全燃焼なら、有毒ガスは CO(一酸化炭素)です。メタンではありません。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 3 です。

コメント