問 題
我が国の20 世紀前半の動きに関する記述として最も妥当なのはどれか。
1.1914 年に始まった第一次世界大戦はヨーロッパが主戦場となったため,我が国は参戦せず,辛亥革命で混乱している中国に干渉し,同大戦中に清朝最後の皇帝溥儀を初代皇帝とする満州国を中国から分離・独立させた。
2.1917 年,ロシア革命によりアレクサンドル2 世が亡命すると,ロマノフ王朝は崩壊し,世界で最初の社会主義国家が誕生した。その影響が国内に波及することを恐れた我が国は,米国と石井・ランシング協定を結び,米国に代わってシベリアに出兵した。
3.1918 年,立憲政友会総裁の原敬は,陸・海軍大臣と外務大臣を除く全ての大臣を立憲政友会党員で占める本格的な政党内閣を組織した。同内閣は,産業の振興,軍備拡張,高等教育機関の拡充などの積極政策を行った。
4.1920 年に設立された国際連盟において,我が国は米国と共に常任理事国となった。1933 年,国際連盟はリットン報告書に基づいて満州における中国の主権を認め,日本の国際連盟からの除名を勧告したため,我が国は国際連盟を脱退した。
5.1930 年,浜口雄幸内閣は金の輸出禁止を解除したが,ニューヨーク株式市場の大暴落から始まった世界恐慌のため,我が国では猛烈なインフレが生じ,労働争議が激化した。そのため,同内閣は治安維持法を成立させ,労働争議の沈静化を図った。
解 説
選択肢 1 ですが、日本は第一次世界大戦において、日英同盟を理由にドイツに宣戦布告をし、中国におけるドイツの根拠地の青島を占領しました。「参戦せず」ではありません。よって、選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 ですが、石井・ランシング協定は、日米間の「中国に関する」協定です。ロシアについてではありません。また、シベリア出兵は、日、米、英、仏のロシア革命への干渉です。米国も出兵しています。よって、選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 は、妥当な記述です。
選択肢 4 ですが、国際連盟は、米国不参加です。よって、選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 ですが、治安維持法は「社会運動、思想弾圧法」です。労働争議の沈静化のために成立させた法律ではありません。よって、選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 3 です。
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