公務員試験 H25年 国家一般職(教養) No.36解説

 問 題     

近年のEU(欧州連合)主要国の農業に関する記述として最も妥当なのはどれか。なお、文中の食料自給率は全て2009 年のカロリーベース(試算値)とする。

1.ドイツは、国土の約半分が農用地となっているが、気候が冷涼なために小麦や大麦などの穀物栽培には適さず、てんさいやジャガイモを栽培する畑作が中心となっており、EU 全体の農業生産額に占める同国の割合は低い。また、EU最大の人口を擁していることもあり、同国の食料自給率はEU 諸国の中では最も低くなっている。

2.フランスは、EU最大の農用地面積と農業生産額を有する農業国である。国土の多くが平地で肥沃な農地に恵まれていることから、小麦や大麦などの穀物栽培が盛んで、小麦の生産量はEU最大である。また、同国の食料自給率は100%を超えており、小麦や大麦などの穀物は国外にも輸出されている。

3.英国は、高緯度に位置しながらも、暖流の影響により国土のほぼ全てが温帯に属している。このため、伝統的に小麦、大麦、ライ麦などの穀物の栽培が盛んで、酪農による乳製品の生産や牧畜はあまり行われていない。また、同国の食料自給率は、豊富な穀物生産により100%を超えている。

4.イタリアは、丘陵地や山岳地が多く、国土面積に占める平地の割合は低いが、丘陵地や山岳地も農用地として利用されているため、国土面積に占める農用地の割合は約半分と高い。近年、政府の農業改革によって農用地の集約化・大規模化が図られた結果、農家当たりの経営規模がEU 諸国の中ではフランスに次ぐ 2 番目の大きさとなった。

5.スペインは、国土の多くが温帯の地中海性気候に属しており、地中海沿岸の地域では、オリーブ、ぶどう、オレンジなどの栽培が盛んである。他方、国土の中央部はメセタと呼ばれる高原台地が広がっており、大規模な酪農や牧畜が行われている。同国の乳製品や食肉の生産量はEU 最大であり、酪農の盛んなデンマークと同様、牛肉とチーズが主要な輸出農産物となっている。

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説     

選択肢 1 ですが、ドイツは混合農業がさかんで、食料自給率も高い国です。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 は、妥当な記述です。

選択肢 3 ですが、英国といえば羊毛が連想されるのではないでしょうか。ヨーロッパの農業といえば有畜農業である点からも「牧畜はあまり行われていない」という記述は明らかに妥当ではありません。

選択肢 4 ですが、イタリアはせいぜい 農家当たり 10ha 程度の経営規模で、有機農業がさかんです。こじんまり色々作っているイメージになります。よって後半部の記述が明らかに誤りです。

選択肢 5 ですが、スペインといえばイベリコ豚ではないでしょうか。また漁業も盛んです。牛肉とチーズは明らかに別の国と判断できると思われます。

以上より、正解は 2 です。

コメント