過去問H28国家専門職（食品衛生監視員）No4毒性学Ⅰ(1)

　問 題　　　　　

自然毒に関する記述 ①～⑤ について、妥当なものには ○ を、妥当でないものには × をそれぞれ記せ。

①　キンポウゲ科トリカブト属の植物に含まれるアルカロイドであるアコニチンは、脊髄運動ニューロンの抑制系でグリシンと拮抗することにより、呼吸麻痺を引き起こす。

②　タバコの葉に含まれるアルカロイドであるニコチンは、副交感神経遮断作用により、瞳孔散大、視力障害、口渇を引き起こす。

③　未熟な梅の果実やアーモンドの種子などに含まれるアミグダリンは、果実に共存する βーグルコシダーゼによって分解され、シアン化水素を遊離する。このシアン化水素が、シトクロム c オキシダーゼを阻害することにより、細胞の酸素利用を妨げる。

④　フグ毒に含まれるテトロドトキシンは、神経や筋肉のナトリウムチャネルを塞ぎ、ナトリウムイオンの流入を阻害することにより、口唇、指先のしびれ、嘔吐、運動障害、呼吸麻痺を引き起こす。

⑤　珪藻類によって産生され、ムラサキイガイなどに蓄積されるサキシトキシンは、海馬を損傷することにより、記憶障害を引き起こす。

 

 

 

 

 

 

　解 説　　　　　

①ですが
アコニチンは、Na^＋チャネルが作用点です。グリシンと拮抗するわけではありません。また、活性化による過分極を引き起こします。よって、①は妥当ではありません。

②ですが
ニコチンは、副交感神経系を刺激、賦活します。記述はたとえばベラドンナアルカロイドのような、抗コリン作用、すなわち、副交感神経系を抑制するような物質についてです。

③、④は、妥当な記述です。

⑤ですが
サキシトキシンは、麻痺性の貝毒です。海馬損傷はドウモイ酸に関する記述と考えられます。

以上より、①☓、②☓、③◯、④◯、⑤☓　です。

類題 H25 No4Ⅲ、H27No4Ⅰ(1)