公務員試験 H25年 国家一般職(化学) No.44解説

 問 題     

含水率100%のパルプを 10 ℃, 100 kg/hで乾燥機に供給し、含水率10 %の製品を得た。この乾燥機内への熱風温度は500 ℃、排気温度は200 ℃、乾燥後のパルプ温度は60 ℃であった。このときの熱風乾燥空気の供給量はおよそいくらか。ただし, 含水率は次式で定義される。

また、乾燥パルプの定圧熱容量は1.25 kJ/kg・K、200 〜500℃の乾燥空気, 水蒸気及び水の平均定圧熱容量はそれぞれ、1.0 kJ/kg・K、2.0 kJ/kg・K、4.2 kJ/kg・K、0℃における水の蒸発潜熱は2500 kJ/kgとする。

  1. 330 kg/h
  2. 440 kg/h
  3. 660 kg/h
  4. 770 kg/h
  5. 990 kg/h

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説     

含水率 100% ということは、問題文の式から、パルプ乾燥重量が 1gであれば水を 1g 含む ということです。含水率 100% のパルプを 100kg/h で乾燥機に供給しているから、10℃の パルプ 50kg、水50kg が供給されます。

そして、50kg のパルプの量は変わらず、水が蒸発して 60℃ 含水率 10% になるのだから、60℃のパルプ 50kg と、60℃の水 5kg で乾燥機出口から出てくる ということです。そのために使われる熱ですが、水の蒸発潜熱が 異常に多いのでほぼこれだけに注目すれば OK です。

水 45kg の蒸発潜熱は、1kg で 2500kJ だから、45kg で 112500kJです。熱風は 500℃→200℃になっており、乾燥空気から水へ 300KJ/kg の熱量が移動しています。従って、乾燥空気が 400kg あれば「120000kJ」 の熱量が移動することになり、水 45kg を蒸発させるのに必要な 112500kJ よりも大きな熱量が得られます。よって、大体乾燥空気 400kg で OK と評価できます。水が最も大きな影響を与えるとはいえ、乾燥パルプの温度も上がっているため、400 付近で少し大きめが正解と推測できます。

以上より、一番近い選択肢を選べば、正解は 2 です。

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