R1年 食品衛生監視員 No.1 分析化学Ⅱ(2) 問題と解説

 問 題     

⑵ 核磁気共鳴 (NMR) スペクトル法の説明に関する次の記述の Ⓐ ~ Ⓙ に当てはまるものを語群から選び出し、それぞれの番号を記せ。

1H‒NMR は、1H の陽子と中性子の総数が奇数であり、 Ⓐ をもつため、 Ⓑ に置いた試料に Ⓒ を照射したときに起こる核磁気共鳴の性質を利用して測定する方法である。

実際の測定化合物において同じ種類の核であっても、その周囲の化学環境が異なる場合に起こる共鳴周波数の基準物質とのずれを Ⓓ といい、化合物の Ⓔ を推定することができる。炭素に結合している原子の電気陰性度が大きくなると、炭素に結合している水素の電子密度が Ⓕ なり、 Ⓓ の値は Ⓖ なる。

また、シグナルの分裂を Ⓗ といい、 Ⓗ から Ⓘ を推定することができ、シグナルの面積からは Ⓙ を推定することができる。」

<語群>
①磁場、②電場、③電磁波、④レイリー光、⑤核スピン、⑥隣接する水素の数、⑦官能基、⑧水素の個数の相対比、⑨化学シフト、⑩等価的開裂、⑪スピン‒スピン結合、⑫大きく、⑬小さく

 

 

 

 

 

 解 説     

【核磁気共鳴 (NMR) スペクトル法の基礎知識】

・核磁気共鳴 (NMR) は、磁場中 で、電磁波の一種であるラジオ波を試料に放ち、ラジオ波吸収量を 測定する手法 → ラジオ波が吸収される理由は、測定試料 原子核 (H や C 等) のスピン共鳴と呼ばれる現象

各原子核は、周囲の電子から磁気的影響を受け、外部磁場とはわずかに異なる「実効磁場」の中に存在

・周囲の電子環境の違い = 共鳴振動数の変化 これを 化学シフトと呼ぶ。基準物質 (TMS) と比較して測定

・周囲の電子による影響が「遮蔽効果」 遮蔽効果が高い原子核はより低い振動数で共鳴スペクトルの右側 (高磁場側) に表示される

↑ NMR チャートの例

ーーー

Ⓐ、Ⓑ、Ⓒ ですが
基礎知識をふまえて語群を見れば、「核スピン」をもつため「磁場」に置いた試料に「電磁波」を照射 が妥当と判断できると思われます。

Ⓓ、Ⓔ ですが
基準物質とのずれは「化学シフト」です。化学シフトによって、OH 基についている H が存在するなどの「官能基」が推定できます。

Ⓕ、Ⓖ ですが
炭素に結合している原子の電気陰性度が高いと、電気陰性度が高い原子の方に電子が引っ張られます。すると水素の電子が引っ張られるため、水素の電子密度は「小さく」なります。その結果、磁場中におかれた時に生じる「水素の電子による遮蔽効果」も小さくなり、低磁場側へシフトします。低磁場側とは、化学シフトが「大きく」なる方向です。 

Ⓗ、Ⓘ、Ⓙ ですが
シグナルの分裂は「スピン ‒ スピン結合」です。ここから推定できるのは「隣接する水素の数」(より正確な表現は、水素が結合している炭素 C1 に隣接する炭素 C2 と結合している水素の数) です。また、シグナルの面積から推定できるのは「水素の個数の相対比」です。


以上より
Ⓐ:⑤ 核スピン
Ⓑ:① 磁場
Ⓒ:③ 電磁波

Ⓓ:⑨ 化学シフト
Ⓔ:⑦ 官能基

Ⓕ:⑬ 小さく
Ⓖ:⑫ 大きく

Ⓗ:⑪ スピン‒スピン結合
Ⓘ:⑥ 隣接する水素の数
Ⓙ:⑧ 水素の個数の相対比 です。

コメント