公務員試験 2020年 国家一般職(教養) No.39解説

 問 題     

1930 年代から1980 年代までの国際通貨等の動向に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.1930 年代には世界恐慌の影響による不況への対策として,各国は,輸入品を安く大量に獲得するための激しい為替の切上げ競争を行った。この結果,為替相場も乱高下し世界貿易は不均衡となったため,各国は金本位制を導入し為替相場の安定化を図った。

2.第二次世界大戦後の国際経済秩序であるブレトン=ウッズ体制の下で,国際通貨基金(IMF)などの国際機関の設立と同時期に変動為替相場制が導入された。また,同体制を支えるため,金とドルとの交換が停止されるとともに,米国のドルが基軸通貨とされた。

3.1970 年代初頭,米国の経済力が他の先進諸国を圧倒し,金準備高も増大していく中,米国は,ベトナム戦争への介入を契機として,金とドルの交換を保証したため,外国為替市場は安定に向かった。

4.1970 年代末,外国為替市場では為替投機が活発化したため,固定為替相場制を維持することが困難となり,主要各国はスミソニアン協定を結び変動為替相場制に移行した。また,為替相場の安定化に伴い,IMF 加盟国が担保なしに通貨を引き出せる特別引出権(SDR)制度は廃止された。

5.1980 年代前半,米国は,国内の金利の上昇に伴いドル高となり,経常収支が赤字となった。このため,1980 年代半ばに主要先進国の間でプラザ合意が交わされ,ドル高を是正するため各国が協調して為替介入が行われることとなった。

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説     

選択肢 1 ですが
世界恐慌対策として行われたのは、金本位制停止 → 管理通貨制度への転換です。「各国は金本位制を導入」したわけではありません。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
第二次世界大戦後のブレトン=ウッズ体制では、戦後の通貨安定のため、金ドル本位制度固定為替相場制を採用しました。「変動為替相場制」ではありません。また「金とドルの交換が停止」されてはいません。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
1971 年ドルショックに関する記述です。ベトナム戦争の長期化によりドルの海外流出が進み、海外流出したドルと、米国国内の金がどんどん交換されることで、アメリカの金保有量が激減しました。そして、米国金とドルの交換禁止などを発表したのがドルショックです。ニクソンショックとも呼ばれます。「金とドルの交換を保証した」わけではありません。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
スミソニアン協定は、ドル=ショック後、先進主要国が固定為替相場制維持を図った通貨協定です。しかし、この後もドルへの信頼低下は続き、1973 年までに各国は変動相場制へと移行していきます。「スミソニアン協定を結び変動為替相場制に移行した」わけではありません。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 は妥当です。
プラザ合意に関する記述です。

以上より、正解は 5 です。

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