問 題
諸外国の農工業等に関する記述として最も妥当なのはどれか。
1.カナダでは,国土の南部で牧畜や小麦の栽培が盛んであり,米国のプレーリーから続く平原は,世界有数の小麦生産地帯となっている。また,カナダは,森林資源や鉄鉱・鉛・ニッケルなどの鉱産資源に恵まれているほか,西部では原油を含んだ砂岩であるオイルサンドの開発も行われている。
2.メキシコでは,メキシコ高原に肥沃な土壌であるテラローシャが広がっており,そこではファゼンダと呼ばれる大農園でカカオやナツメヤシが栽培されている。以前はマキラドーラ制度の下で輸入品に高い関税を課し,自国の産業を保護する輸入代替工業化を行っていたが,北米自由貿易協定(NAFTA)への加盟を契機に関税を引き下げた。
3.ベトナムでは,南部のチャオプラヤ川の河口付近で広大なデルタが形成され,その流域は世界有数の農業地帯となっている。また,1980 年代から,欧州ではなく日本や韓国からの企業進出や技術導入を奨励する,ドイモイ(刷新)と呼ばれる政策で工業化が進展した結果,コーヒーやサトウキビなどの商品作物はほとんど栽培されなくなった。
4.シンガポールでは,植民地支配の下で天然ゴムなどのプランテーションが数多く開かれてきたが,近年,合成ゴムの普及で天然ゴムの価格が低迷したため,油ヤシへの転換が進んでいる。工業分野では,政府の主導の下,工業品の輸入や外国企業の出資比率を制限することで国内企業の保護・育成を図り,経済が発展した。
5.オーストラリアでは,内陸の大鑽井盆地を中心に,カナートと呼ばれる地下水路を用いた牧畜が発達してきた。また,鉄鉱石やボーキサイトなどの鉱産資源の世界的な生産国であり,大陸の西側を南北に走る新期造山帯のグレートディヴァイディング山脈には,カッパーベルトと呼ばれる銅鉱の産出地帯がある。
解 説
選択肢 1 は妥当です。
カナダについての記述です。
選択肢 2 ですが
テラローシャは、ブラジル高原南部にみられる赤紫色の肥沃な土壌です。メキシコ高原ではありません。ファゼンダも、ブラジルの大農園です。メキシコではありません。選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 ですが
ベトナムを流れる川といえばメコン川です。チャオプラヤー川はタイなどを流れています。選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 ですが
プランテーションが数多く開かれ、天然ゴムから油ヤシへの転換が進んでいるのはマレーシアです。シンガポールではありません。また、工業分野についてですが、輸出加工区を設置することで輸入に関税を免除するなどして、外国資本誘致を図り、経済が発展しました。選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 ですが
カナートは、主にイランの乾燥地域に見られる地下用水路です。また、グレートディヴァイディング山脈は「大陸の東側」を南北に走る、非常に古い時期の造山運動で出来た「古期造山帯」です。そして、カッパーベルトはアフリカ大陸南部中央における銅鉱の産出地帯です。選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 1 です。
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