問 題
行政不服審査法に関する ア~オ の記述のうち,妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。
ア.行政庁の処分に不服がある者は,行政不服審査法の定めるところにより,審査請求をすることができるが,同法は,同法による審査請求をすることができない処分については,別に法令で当該処分の性質に応じた不服申立ての制度を設けなければならないとしている。
イ.法令に基づき行政庁に対して処分についての申請をした者は,当該申請から相当の期間が経過したにもかかわらず,行政庁の不作為がある場合には,行政不服審査法の定めるところにより,当該不作為についての審査請求をすることができるが,当該不作為についての再調査の請求をすることはできない。
ウ.行政庁の処分についての審査請求の裁決に不服がある者は,個別の法律に再審査請求をすることができる旨の定めがない場合であっても,行政不服審査法の定めるところにより,再審査請求をすることができる。
エ.審査請求は,代理人によってすることができ,代理人は,審査請求人のために,当該審査請求に関する行為をすることができる。ただし,審査請求の取下げは,いかなる場合であっても,代理人がすることはできない。
オ.行政不服審査法は,処分(事実上の行為を除く。)についての審査請求に理由がある場合(事情裁決をする場合を除く。)には,処分庁の上級行政庁又は処分庁である審査庁は,裁決で,当該処分の全部若しくは一部を取り消し,又はこれを変更することとしている。
1.ア,イ
2.ア,エ
3.イ,オ
4.ウ,エ
5.ウ,オ
解 説
記述 ア ですが
行政不服審査法第 7 条において、処分・不作為に関する審査請求に関する適用除外が定められています。これらについて、第 8 条で「当該処分又は不作為の性質に応じた不服申立ての制度を設けることを妨げない」と定めています。「制度を設けなければならない」わけではありません。記述 ア は誤りです。
記述 イ は妥当です。
不作為については何も行われていないため「再」審査請求ではなく、改めて審査請求を行うことができます。審査請求でらちがあかない場合には「義務付け訴訟」を行うという対応が考えられます。
記述 ウ ですが
行政不服審査法第 6 条によれば「行政庁の処分につき法律に再審査請求をすることができる旨の定めがある場合には、当該処分についての審査請求の裁決に不服がある者は、再審査請求をすることができ」ます。「個別の法律に再審査請求をすることができる旨の定めがない場合」であっても再審査請求ができるわけではありません。記述 ウ は誤りです。
記述 エ ですが
行政不服審査法第 12 条によれば、「代理人による審査請求の取下げは、特別の委任を受けた場合に限り、することができ」ます。「いかなる場合であっても,代理人がすることはできない」わけではありません。記述 エ は誤りです。
記述 オ は妥当です。
行政不服審査法第 46 条の内容です。
以上より、正解は 3 です。
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