公務員試験 2020年 国家一般職(行政) No.19解説

 問 題     

行政事件訴訟法上の抗告訴訟における処分性に関するア~エの記述のうち,判例に照らし,妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。

ア.住民票に特定の住民の氏名等を記載する行為は,その者が市町村の選挙人名簿に登録されるか否かを決定付けるものであって,その者は選挙人名簿に登録されない限り原則として投票をすることができないのであるから,これに法的効果が与えられているということができる。しかし,住民票に特定の住民と世帯主との続柄がどのように記載されるかは,その者が選挙人名簿に登録されるか否かには何らの影響も及ぼさないことが明らかであり,住民票に当該続柄を記載する行為が何らかの法的効果を有すると解すべき根拠はないから,住民票に世帯主との続柄を記載する行為は,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たらない。

イ.食品等を輸入しようとする者が検疫所長から食品衛生法に違反する旨の通知を受けた場合,検疫所長から食品等輸入届出済証の交付を受けることができなくなるが,当該通知は,法令に根拠を置くものではなく,当該者の採るべき措置を事実上指導するものにすぎない上,当該者は,科学的な検査結果等をもって同法違反がないことを証明し,輸入に関する検査又は条件の具備についての税関長の確認を得ることができるのであるから,当該通知は,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たらない。

ウ.土地区画整理事業の事業計画の決定は,当該土地区画整理事業の基礎的事項を一般的,抽象的に決定するものであって,これによって利害関係者の権利にどのような変動を及ぼすかが必ずしも具体的に確定されているわけではなく,また,事業計画が公告されることによって生ずる建築制限等は土地区画整理法が特に付与した公告に伴う付随的効果にとどまるものであるから,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たらない。

エ.全国新幹線鉄道整備法に基づく運輸大臣(当時)の工事実施計画の認可は,いわば上級行政機関としての運輸大臣が下級行政機関としての日本鉄道建設公団(当時)に対しその作成した工事実施計画の整備計画との整合性等を審査してなす監督手段としての承認の性質を有するもので,行政機関相互の行為と同視すべきものであり,行政行為として外部に対する効力を有するものではなく,また,これによって直接国民の権利義務を形成し,又はその範囲を確定する効果を伴うものではないから,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たらない。

1.ア,イ
2.ア,エ
3.イ,ウ
4.イ,エ
5.ウ,エ

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説     

記述 ア は妥当です。
最判 H11.1.21 の内容です。

記述 イ ですが
最判 H16.4.26 によれば、食品衛生法に基づき検疫所長が行う通知は、それにより輸入許可を受けられなくなるという法的効力を有するため、取消訴訟の対象となります。記述 イ は誤りです。

記述 ウ ですが
浜松市土地区画整理事業事件(最判 H20.9.10) によれば、青写真判決(最判 S41.2.23) の考え方を改め、行政計画たる土地区画整理法に基づく土地区画整理事業の事業計画の決定に処分性が認められています。記述 ウ は誤りです。

記述 エ は妥当です。
成田新幹線事件(最判 S53.12.8) の内容です。

以上より、正解は 2 です。

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