問 題
国会議員の不逮捕特権及び免責特権に関する次の記述のうち、妥当なのはどれか。
1. 国会議員の不逮捕特権は、国会の会期中であっても、議院の許諾がある場合と、院内及び院外における現行犯罪の場合には、認められない。
2. 国会議員に不逮捕特権が認められるのは国会の会期中に限られるが、参議院の緊急集会中は会期中と同様に取り扱われ、参議院の緊急集会が開催されている場合の参議院議員についても、不逮捕特権が認められる。
3. 国会議員に免責特権が認められているのは、院内での言論の自由を確保し、国会の機能を十分に発揮させるためであるから、国会議員が所属する委員会の地方公聴会での発言など、国会議員が院外で行った発言には、免責特権は及ばない。
4. 国会議員は、議院で行った演説、討論又は表決について、院外で責任を問われることはなく、院内においても、その責任を問われ、懲罰の対象とされることはない。
5. 国会議員が国会の質疑、演説、討論等の中でした個別の国民の名誉又は信用を低下させる発言については、国会議員の裁量に属する正当な職務行為とはいえず、免責特権は及ばないことから,これによって当然に国家賠償法第1条第1項の規定にいう違法な行為があったものとして国の損害賠償責任が生ずるとするのが判例である。
解 説
選択肢 1 ですが
国会法 33 条によれば、「各議院の議員は、院外における現行犯罪の場合を除いては、会期中その院の許諾がなければ逮捕されない」とあります。「議院の許諾がある場合」はよいのですが、「院内及び院外における現行犯罪」ではありません。選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 は妥当です。
憲法 50 条における不逮捕特権の「会期中」には、緊急集会を含みます。
選択肢 3 ですが
議事堂外であっても議会活動の一環として、正規の手続によって行われる地方公聴会等は、憲法 51 条の「議院」に含まれると解されています。そのため、免責特権が及びます。選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 ですが
憲法 51 条に「院外での責任を問はれない」とあります。したがって、議員としての職務活動に監視、院内の懲罰権の対象には、なります。選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 ですが
院内において、名誉毀損的発言であっても、免責特権の対象にはなります。ただこれは、責任がなくなるのみであり、不法行為・犯罪行為に違法性がなくなるわけではありません。そして、裁判所が違法性を判断することで、議員の職務活動への事実上の介入、議員の自律権侵害可能性をふまえ、無制限ではありませんが、国家賠償請求ができることがある、という判例です。選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 2 です。
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