公務員試験 H26年 国家一般職(農学) No.3解説

 問 題     

農業と環境に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1. 土壌侵食とは雨水や風などの作用によって土壌が流失又は飛散移動する現象であり前者を水食後者を風食と呼ぶ。いずれの場合も肥沃度の高い表土が失われるので土壌の性質は悪化し作物の生育は阻害される。対策として等高線栽培不耕起栽培などが行われる。

2. 大気汚染物質の中で我が国において大きな問題となるのは光化学オキシダントの大部分を占めるオゾンである。成層圏のオゾンは紫外線から地表を守っている。一方対流圏のオゾンは気温が低くて曇りの日に高い濃度を示し作物などに可視被害を発生させることはないが生育を抑制する。

3. 酸性雨とは石炭や石油の燃焼などによって発生した窒素酸化物やメタンが硫酸や硝酸に変化し雨水に溶けて酸性となったものである。その植物に対する影響には直接的なものと土壌の還元化が進むことによる間接的なものとがある。

4. 我が国には重金属類による土壌汚染の事例が多数ありカドミウムは水俣病の発症原因として知られている。カドミウム濃度の基準値は従来は玄米で1ppm 未満とされてきたが現在は2ppm 未満に緩和されている。対策としては客土などが有効である。

5. 地球規模の環境問題である砂漠化は名古屋議定書によれば「乾燥半乾燥及び乾性半湿潤地域における土壌の劣化」と定義されている。気候変動などの要因による場合と過耕作や過放牧不適切な灌漑に伴う土壌の酸性化などの人為的な要因による場合とがある。

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説     

選択肢 1 は、妥当な記述です。

選択肢 2 ですが、濃度の高いオゾンにより、葉に斑点を生じることが知られています。「可視被害を発生させることがない」わけではありません。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが、メタンではなく、硫黄酸化物(SOx)です。また、影響は土壌の「酸化」です。「還元化」ではありません。よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが、カドミウムはイタイイタイ病の原因です。水俣病の原因は有機水銀です。よって、選択肢 4 は誤りです。ちなみに、試験時点で カドミウムの基準はより厳しく 0.4ppm となっています。

選択肢 5 ですが、砂漠化の定義は「乾燥地域における土地の劣化」です。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 1 です。

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