2022年 国家一般職(高卒 基礎)No.35 解説

 問 題     

核兵器と軍縮に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.1950 年代、ラッセルとアインシュタインの呼びかけに応じ、科学者らによるパグウォッシュ会議が開かれるなど、核兵器の廃絶を求める声が上がった。

2.1960 年代、キューバが米国に対してミサイル攻撃を行い、これを支援するソ連が核兵器をキューバに持ち込んだ。このキューバ危機後、核戦争への脅威が一層高まった。

3.1990 年代、地下核実験を含む全ての核爆発を禁止する包括的核実験禁止条約(CTBT)が採択されたが、未発効だったため、その後、部分的核実験禁止条約(PTBT)が結ばれた。

4.大量破壊兵器としては、核兵器のほか、生物兵器や化学兵器などがある。2010 年代に生物兵器禁止条約が発効したが、化学兵器禁止条約は 2021 年時点で発効していない。

5.非核地帯条約とは、締約国が核兵器の取得、生産、配備などをしないことを約束する条約であり、インドを含む南アジアや中東地域などで結ばれている。

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説     

選択肢 1 は妥当です。
ビキニ水爆実験 → 第五福竜丸事件 → ラッセル=アインシュタイン宣言 → パグウォッシュ会議という流れがありました。会議は本試験時点も継続して開かれています。

選択肢 2 ですが
1962 年、キューバにソ連がミサイル基地を建設 → アメリカが海上封鎖断行 → 核戦争勃発の危機が生まれました。この流れを「キューバ危機」といいます。「キューバが米国に対してミサイル攻撃を行い、・・・」ではありません。

また、キューバ危機をへて米ソ両首脳間ホットラインの設置、部分的核実験禁止条約 (PTBT) への合意が生まれ、米ソ「デタント(緊張緩和)」へとつながっていきました。「キューバ危機後、核戦争への脅威が一層高まった」わけではありません。選択肢 2 は誤りです。


選択肢 3 ですが
部分的核実験禁止条約(PTBP:Partial Test Ban Treaty)は 1963 年に、アメリカ・イギリス・ソ連 間で調印されました。地下核実験を禁止対象としておらず、その後 CTBT 採択という流れです。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
生物兵器禁止条約は 1975 年発効です。また、化学兵器禁止条約は 1997 年発効です。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
非核地帯とは、核兵器や原子力発電所などの使用を禁止した地域のことです。南極、宇宙、南米、南太平洋、東南アジア、アフリカなどで結ばれています。「インドを含む南アジアや中東地域」ではありません。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 1 です。

類題 2019 国家一般職(大卒 教養)no40 世界の軍縮等

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