公務員試験 2019年 国家一般職(教養) No.40解説

 問 題     

世界の軍縮等に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.第二次世界大戦後,冷戦により安全保障理事会があまり機能せず軍縮が進まなかったため,国際連合は,国際司法裁判所の下にロンドンに本部を置く国連軍縮委員会を設置した。同委員会での交渉を経て,ロンドン海軍軍縮条約が発効して,欧州での軍縮につながった。

2.1980 年代,米ソ間の緊張緩和が進む中,両国間で戦略兵器削減交渉(START)が行われ,包括的核実験禁止条約(CTBT)が発効した。2010 年代には,米ロに経済成長が著しい中国を加えた 3 か国で戦略兵器制限交渉(SALT)が行われ,中距離核戦力(INF)全廃条約が発効した。

3.21 世紀に入り,国際テロ組織が核兵器を入手する可能性が高まったことを受けて,核拡散防止条約(NPT)が発効した。核兵器非保有国での核兵器の開発も指摘されたことから,国際原子力機関(IAEA)が安全保障理事会の下に設置され,国連軍の指揮下で IAEA が核査察を実施している。

4.核兵器の根絶を目指す動きの一つに域内国での核兵器の生産・取得・保有を禁止する非核兵器地帯条約の締結・発効があり,中南米,南アジア,東南アジアで条約が発効している。現在,イランやカザフスタンを含む中央アジア地域でも条約の締結に向けた交渉が進められている。

5.特定の兵器がもたらす人道上の懸念に対処するために,それらの使用等を禁止する対人地雷禁止条約,クラスター弾に関する条約が発効し,我が国も批准している。対人地雷禁止条約の採択には,NGO が全世界に地雷の非人道性を訴える活動が大きな役割を果たしたとされている。

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説     

選択肢 1 ですが
ロンドン海軍軍縮条約は、1930 年に行われた国際軍縮会議であるロンドン会議において締結された条約です。「第二次世界大戦(1939~1945) 後」の話ではありません。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
SALT(東西冷戦下 米ソ間 1969~) → START(緊張緩和下 米ソ間 1982~)という流れです。そして、1987 年、米ソ間中距離核戦力 (INF) 全廃条約が締結されました。また、包括的核実験禁止条約の発効は 1996 年です。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
核拡散防止条約は 1970 年発効です。「21 世紀に入り」ではありません。また、IAEA は国連の下にある独立機関です。「安全保障理事会の下に設置」ではありません。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
中央アジア非核兵器地帯条約が 2009 年 3 月 21 日に発効しています。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 は妥当です。
対人地雷禁止条約 及び クラスター弾に関する条約についての記述です。

以上より、正解は 5 です。

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