公務員試験 2020年 国家一般職(行政) No.69解説

 問 題     

我が国における学校と地域社会との連携に関する次の記述のうち,妥当なのはどれか。

1.PTA は,第二次世界大戦後に導入された組織で,学校長を組織の長として保護者と教師で構成される。PTA は,地域住民が学校運営に参加・協力するための学校後援会的な役割を担うことを理念とする組織であり,学校ごとに設置が義務付けられている。

2.生涯学習審議会は,平成8 年の答申「地域における生涯学習機会の充実方策について」において,学校教育と社会教育が一体となって子供たちの教育に取り組む「学社連携」の理念の下,学校内外の組織の連携を目指す「チーム学校」を提唱した。この「学社連携」は,従来の「学社融合」の理念をより深化させたものである。

3.地域のニーズを学校運営に的確に反映させる仕組みとして,学校運営協議会制度(コミュニティ・スクール)が導入されている。同協議会は,学校ごとに置かれる合議制の機関で,地域住民や保護者などが委員として任命される。

4.平成 29 年の教育基本法改正により,部活動において技術的な指導に従事する外部指導者として,「部活動指導員」が制度化された。これにより,部活動の外部指導者の名称及び職務が明確に規定されたが,部活動指導員だけで校外の大会等に生徒を引率することは,同法改正前と変わらず,できないままとされた。

5.いわゆる夜間中学は,義務教育未修了者に対して夜間に授業をしている学校であり,全ての市町村において設置されている。夜間中学は,地域社会において義務教育の機会を保障する役割を担っているが,外国籍の住民には入学資格がない。

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説     

選択肢 1 ですが
PTA は任意団体です。PTA がない学校もあります。「学校ごとに設置が義務付けられている」わけではありません。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
学社連携 → 学社融合 という流れです。学校教育と社会教育のうち、一方が主体となり、他方が協力する、相互補完的な活動が「学社連携」です。一歩進んで、学校教育と社会教育が部分的に重なり合い、一体となって教育に取り組むのが「学社融合」です。「学社連携が、学社融合の理念をより深化させたもの」ではありません。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 は妥当です。
コミュニティ・スクールについての記述です。コミュニティ・スクールは、地域運営学校とも呼ばれる、学校運営協議会を置く学校です。地域の住民が学校運営に積極的に関わる形態です。

選択肢 4 ですが
制度化された「部活動指導員」は、校外の大会への生徒引率等も職務とされています。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
夜間中学は、様々な事情で義務教育未修了の人のための学校です。各都道府県ごとに、最低1校を設置しようとしています。「全ての市町村において設置されている」わけではありません。全ての市町村には設置していなくないかな、と判断したい内容です。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 3 です。

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