公務員試験 2020年 国家一般職(行政) No.49解説

 問 題     

経営組織に関する次の記述のうち,妥当なのはどれか。

1.M.ヴェーバーは,官僚制の特徴として,職務の専門化・分業化,個人的な経験やノウハウに基づく職務権限の設定,文書を媒介とする職務遂行,ヒエラルキーの排除などを挙げ,官僚制により大規模化・複雑化した組織を運営すると,仕事の遂行が正確ではあるものの遅くなるため,他の組織形態と比較して効率性が低くなるとした。

2.企業組織を開発や生産,営業などの機能を担当する部門別に編成する形態のことを事業部制組織と呼ぶ。事業部制組織では,事業部ごとの利益成果が明確であるため事業部どうしが良好な協力関係を保つことができ,各事業部は短期的な成果を気にすることなく長期的な成果を追求できる。そのため,事業部で共通している技術や製品を見つけ出しやすいという利点がある。

3.J.フェッファーとG.サランシックが提唱した資源依存理論では,組織の集合である個体群の組織形態はスペシャリスト組織とジェネラリスト組織の二つに分類される。スペシャリスト組織は,環境変化が少なく安定している場合にはジェネラリスト組織よりも適合度が高く,ジェネラリスト組織は,似ていない環境への変化が頻繁に起こる場合にはスペシャリスト組織よりも適合度が高い。

4.制度的環境への適応の結果として組織が似通ってくる現象は制度的同型化と呼ばれ,P.J.ディマジオとW.W.パウエルは,そのメカニズムとして,①強制的同型化,②模倣的同型化,③規範的同型化の三つを挙げた。大学などで類似の教育を受けた専門家が組織を超えてネットワークを形成することにより生じる同型化は規範的同型化の例である。

5.J.バーンズとG.M.ストーカーは,生産システムを歴史的な発展順序と技術の複雑さに従い,単品・小バッチ生産,大バッチ・大量生産,装置生産の三つのタイプに分類した。これら三つのタイプを比較すると,大バッチ・大量生産は,熟練労働者の割合が高いことや文書よりも口頭でのコミュニケーションが多いなどの特徴を有する。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

選択肢 1 ですが
ヴェーバーは、官僚制を体系的に分析した始めての学者です。官僚制の特徴として、規則により体系化された権限の原則や、職位の階層制、文書主義などを指摘しました。「個人的な経験やノウハウに基づく職務権限の設定」、「ヒエラルキーの排除」ではありません。また、官僚制は卓越性がある一方で、巨大化に伴う統制困難可能性を指摘しました。「他の組織形態と比較して効率性が低くなる」としたわけではありません。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
事業部制組織とは、事業ごとに組織された組織形態です。デメリットとして、事業部の壁をまたぐ商品・サービスが生み出されにくい点や、各事業部にとっての利益追求が最優先となり、全社における論理が一貫しにくくなる点、各事業部で重複する部門や部品などがあることによる非効率性などがあげられます。「事業部どうしが良好な協力関係を保つことができ」、「事業部で共通している技術や製品を見つけ出しやすい」というわけではありません。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
スペシャリスト組織とジェネラリスト組織の適合度に関する理論は、組織エコロジー論です。提唱者はハナン、フリーマンです。(H29no46)。資源依存理論は、フェファー、サランシックが提唱した、組織間の資源取引関係に着目した経営環境分析手法の1つです。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 は妥当です。
ディマジオとパウエルが論じた制度的同型化についての記述です。

選択肢 5 ですが
大バッチ・大量生産から連想するのは、ほぼ無人の機械化された工場ではないでしょうか。このタイプの生産システムが「熟練労働者の割合が高く、文書よりも口頭のコミュニケーション」というのは違うと判断できると思われます。これは単品・小バッチ生産システムの特徴と考えられます。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 4 です。

コメント