公務員試験 2020年 国家一般職(行政) No.46解説

 問 題     

企業の戦略に関する次の記述のうち,妥当なのはどれか。

1.R.P.ルメルトは,米国企業の多角化戦略を分析し,非関連事業の分野に多角化した企業は,既存事業と関連する分野に多角化した企業より,業績が高い傾向にあるとした。これを受けて,H.I.アンゾフは,成長ベクトルのマトリックスを提唱し,新技術を活用した新製品を現在の市場に展開し新しい需要を喚起するものである非関連多角化を,四つの成長ベクトルのうち最上位に位置付けた。

2.ボストン・コンサルティング・グループが開発したPPM とは,経験効果と製品ライフサイクル仮説の二つの経験則を基礎とした分析ツールである。これは,例えば,相対的市場シェアが低く,市場成長率は高い「問題児」に属する事業には,その事業が有望か否かを分析するという課題を課すなど,各事業の状況に応じて異なる課題・役割を課すことで,多角化事業を管理しようとするものである。

3.コモディティ化とは,ある製品やサービス,規格について,国際的な業界標準とは異なるため国内でしか通用しない状態となることをいう。一旦コモディティ化すると,その製品やサービスに国内の人気が集中し,その結果,ますますコモディティ化が進展するため,国際的な業界標準に合わせることは難しいとされる。

4.SWOT 分析とは, 自社の強み(Strength)や弱み(Weakness)に応じて, 自社の組織(Organization)や戦術(Tactic)が最適に設計されているかを判断するためのものである。企業固有のものである自社の強みや弱みに焦点を当てることができるものの,外部環境の変化は分析の対象になっていないという欠点が指摘されている。

5.J.B.バーニーは,企業の競争優位の源泉を人的資源や生産設備などの経営資源に求めるRBV(Resource Based View)の戦略論を唱えた。この戦略の欠点として,特許などの知財が考慮されていないことが挙げられ,これを補うものとして,C.K.プラハラッドとG.ハメルは,VRIO フレームワークを提唱した。

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説     

選択肢 1 ですが
多角化戦略を分類したルメルトによれば、中核的能力と競争力に関連した分野に限定して、多角化を行った企業の利益率が高いという結論です。非関連事業の分野に多角化した方が業績が高いと明らかにしたわけではありません。(H30no46)。また、アンゾフは4つの成長ベクトルに対して、特にどれが上位といった位置づけをしていません。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 は妥当です。
1970 年代、ボストン・コンサルティング・グループが提唱した、プロダクト・ポートフォリオ・マネージメント(PPM) についての記述です。

選択肢 3 ですが
コモディティ化とは、市場参入時には高付加価値を持っていた商品の市場価値が低下し、一般的な商品になることです。「規格について,国際的な業界標準とは異なるため国内でしか通用しない状態となること」は「ガラパゴス化」です。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
SWOT 分析は、横軸にプラス・マイナス、縦軸に外部要因・内部要因 をとり、強み、弱み、機会、脅威の 4つを組み合わせて分析することで、自社にとっての市場機会や事業課題を発見する分析手法です。「外部環境の変化は分析の対象になっていない」というわけではありません。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
VRIO フレームワーク提唱者が バーニーです。RBV の分析枠組みが VRIO フレームワークです。(H30no46)。ハメルとプラハラードが「将来にわたり競争優位の源泉となる企業の能力」として提唱した概念が、コア・コンピタンスです。(H29no47)。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 2 です。

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