公務員試験 2020年 国家一般職(行政) No.37解説

 問 題     

海外部門との取引がない閉鎖経済における財市場と貨幣市場を考える。Y を国民所得,C を消費,I を投資,G を政府支出とすると,財市場では,Y = C + I + G が成立し,ケインズ型消費関数が C = 120 + 0.8(Y- T)で与えられているとする。ここで,T は租税である。また,当初,政府支出が 80,租税も 80 であるとする。さらに,投資関数は,I = 50 – 4r で与えられているとする。ここで,r は利子率である。

一方,貨幣市場では,実質貨幣供給量が 800 で,それに対する実質貨幣需要を L とすると,L = Y – 6r である。

いま,政府が,財政収支を均衡させたまま,均衡における国民所得を 50 だけ増加させようとして,財政拡大政策と金融緩和政策の両方を用いたとする。政府支出を 80 から 90 へ,租税も 80 から 90 へ,それぞれ 10 ずつ増加させたとき,実質貨幣供給量を 800 の水準からいくら増加させる必要があるか。

1. 42
2. 62
3. 84
4. 124
5. 156

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説     

まず、均衡時の国民所得 Y を求めます。IS、LM 曲線は以下のように求められます。

2つの曲線の式を連立させて解けば Y = 830 です。

次に、 G = T = 90 になったと考えます。
代入して、同様に計算していけば、IS 曲線は r = -0.05Y + 47 になります。均衡における国民所得が 50 増加してほしいので、先程の均衡における国民所得が 830 でしたから、新しい均衡は 830 + 50 = 880 の時です。Y = 880 を代入してみれば、r = 3 です。従って、(Y,r) = (880,3) において、IS 曲線が、LM 曲線と交わって均衡となればよいとわかります。

実質貨幣供給量を 800 から x だけ増加させたとします。すると、LM 曲線は r = Y/6 ー (800+x)/6 と表すことができます。この式は (Y,r) = (880,3) を満たすため、代入すれば、x = 62 とわかります。

以上より、正解は 2 です。

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