公務員試験 2020年 国家一般職(行政) No.21解説

 問 題     

権利能力及び行為能力に関するア~オの記述のうち,妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。

ア.自然人の権利能力は死亡によって消滅するため,失踪者が,失踪宣告によって死亡したものとみなされた場合には,その者が生存していたとしても,同宣告後その取消し前にその者がした法律行為は無効である。

イ.未成年者は,法定代理人が目的を定めて処分を許した財産については,法定代理人の同意を得なくとも,その目的の範囲内において自由に処分することができるが,法定代理人が目的を定めないで処分を許した財産については,個別の処分ごとに法定代理人の同意を得なければ処分することはできない。

ウ.未成年者が法定代理人の同意を得ずに土地の売買契約を締結した場合,当該契約の相手方は,当該未成年者が成人した後,その者に対し, 1 か月以上の期間を定めて,その期間内に当該契約を追認するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができ,その者がその期間内に確答しなかったときは,追認したものとみなされる。

エ.成年被後見人は,日用品の購入その他日常生活に関する行為を単独で確定的に有効になすことができるが,これ以外の法律行為については,成年後見人の同意を得ても,単独で確定的に有効になすことはできない。

オ.被保佐人が,保佐人の同意を得ずに,同意が必要とされる行為をした場合,被保佐人自身のほか,保佐人も当該行為を取り消すことができる。

1.ア,イ
2.エ,オ
3.ア,ウ,オ
4.イ,ウ,エ
5.ウ,エ,オ

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説     

記述 ア ですが
民法第 32 条によれば、「・・・取消しは、失踪の宣告後その取消し前に善意でした行為の効力に影響を及ぼ」しません。「宣告後その取消し前にその者がした法律行為は無効」ではありません。記述 ア は誤りです。

記述 イ ですが
民法第 5 条によれば、「法定代理人が目的を定めないで処分を許した財産」についても、目的を定めて処分を許した財産と同様に、未成年者が自由に処分できます。「個別の処分ごとに法定代理人の同意を得なければ処分することはできない」わけではありません。記述 イ は誤りです。

記述 ウ は妥当です。
民法第 20 条です。

記述 エ は妥当です。
民法第 9 条により、原則として、成年被後見人の法律行為は取り消すことができます。(記述における「単独で確定的に有効になすことはできない」と対応します。)。例外が、日用品の購入その他日常生活に関する行為です。

記述 オ は妥当です。
民法第 13 条 4 項 及び 120 条です。

以上より、正解は 5 です。

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