問 題
行政機関の保有する情報の公開に関する法律(以下「情報公開法」という。)に関する次の記述のうち,妥当なのはどれか。
1.行政機関の長は,開示請求に係る行政文書に不開示情報(行政機関非識別加工情報など情報公開法で定められている情報を除く。)が記録されている場合であっても,公益上特に必要があると認めるときは,開示請求者に対し,当該行政文書を開示することができる。
2.開示請求に対し,当該開示請求に係る行政文書が存在しているか否かを答えるだけで,不開示情報を開示することとなるときは,行政機関の長は,当該行政文書の存否を明らかにしないで,当該開示請求を拒否することができ,その理由を提示する必要もない。
3.開示請求に係る行政文書の開示又は不開示の決定は,開示請求があった日から30 日以内にしなければならないが,行政機関の長は,正当な理由があるときは,この期間を30 日以内に限り延長することができる。この場合,事情のいかんにかかわらず,当該延長期間内に開示請求に係る全ての行政文書の開示又は不開示の決定を行わなければならない。
4.情報公開法は,行政文書の開示を請求する者に対しては,開示請求に係る手数料を徴収することとしているが,行政文書の開示を受ける者に対しては,情報公開制度の利用を促進する政策的配慮から,開示の実施に係る手数料を徴収してはならないこととしている。
5.情報公開法は,その対象機関に地方公共団体を含めていないが,全ての地方公共団体に対し,同法の趣旨にのっとり,その保有する情報の公開に関する条例の制定を義務付けている
解 説
選択肢 1 は妥当です。
情報公開法 第 7 条 公益上の理由による裁量的開示 についての記述です。
選択肢 2 ですが
情報公開法第8条によれば、行政文書の存否に関わる質問について、存否を答えることが情報開示につながる場合、明らかにせず拒否できます。そして、申請に対する処分になるので、行政手続法8条に基づき、理由を示す必要があります。(H26no16)。「その理由を提示する必要もない」わけではありません。選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 ですが
情報公開法第 10,11 条によれば、開示請求に対し 30 日以内が困難な場合、30 日延長でき、また、開示請求に係る行政文書が著しく大量であるため 60 日以内では、事務の遂行に著しい支障が生ずるおそれがある場合には、「相当の部分につき当該期間内に開示決定等をし、残りの行政文書については相当の期間内に開示決定等をすれば足り」ます。「事情のいかんにかかわらず,当該延長期間内に開示請求に係る全ての行政文書の開示又は不開示の決定を行わなければならない」わけではありません。選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 ですが
「開示請求手数料」のほか、開示の実施を受ける際の「開示実施手数料」が費用負担となります。公務員試験過去問を人事院から取り寄せる際に、まず開示請求でいったんお金が必要で、請求が受理されると改めて封筒が送られてきて、CD-R に焼いてもらう時に手数料が改めてかかることを経験していると、イメージしやすい内容です。「開示の実施に係る手数料を徴収してはならない」わけではありません。選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 ですが
情報公開法第 25 条によれば、「地方公共団体は、この法律の趣旨にのっとり、その保有する情報の公開に関し必要な施策を策定し、及びこれを実施するよう努めなければな」りません。条例制定が義務付けられているわけではありません。(本試験時点で、都道府県、指定都市、市区町村は 100.0% 条例等制定済です。)。選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 1 です。
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