公務員試験 2020年 国家一般職(行政) No.10解説

 問 題     

我が国の公務員制度等に関する次の記述のうち,妥当なのはどれか。

1.国家公務員の採用については,府省別採用や採用後の人事管理がセクショナリズムの原因となっているとの指摘があった。このため,国家公務員採用試験は,平成28(2016)年度試験より,総合職試験,一般職試験,各種専門職試験に再編された。また,内閣人事局が一括して採用を行い,配属先を決定する仕組みとなった。

2.女性国家公務員の採用については,平成27(2015)年に策定された第4 次男女共同参画基本計画において,総合職試験の採用者の30 % 以上を女性とすることを義務付けるクォータ制を導入した。これにより,総合職試験の女性の採用者は,平成29(2017)年度から3 年連続で40 %を超えている。

3.国から地方公共団体への出向者は,幹部に就任することが原則であり,これにより地方公共団体の職員の意欲が低下し,地方公共団体の自律的な運営を阻害していると指摘される。このため,現在は,国から地方への出向者数の上限が法定されるとともに,各府省の大臣は,職員を出向させる際には総務大臣の事前承認を得ることとされている。

4.公的年金の支給開始年齢が65 歳へと引き上げられたことに伴い,平成25(2013)年に国家公務員の定年制が廃止された。これにより,若年層の昇進ペースが遅くなり,管理職員の高年齢化が進んだため,平成30(2018)年度に,60 歳に達した管理職員を原則として降格させる役職定年制が導入された。

5.国家公務員の給与については,民間企業の給与水準との格差をなくすことを基本に,第三者機関である人事院が,給与の改定について内閣及び国会に対し勧告を行う,給与勧告制度が採られている。これは,国家公務員の労働基本権が制約されていることの代わりに設けられている措置である。

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説     

選択肢 1 ですが
受験生であれば、「内閣人事局が一括して採用を行い,配属先を決定する仕組み」ではなく、試験最終合格後、合格者が官庁訪問で配属先を選択、決定する仕組みである、と知っているのではないでしょうか。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
女性国家公務員の比率は上昇していますが、採用者に対する一定割合の合格を義務付けるクォータ制は採用されていません。また、総合職試験の女性採用者の割合は、本試験時点で 40% 弱です。「平成29(2017)年度から3 年連続で40 %を超えている」というのは、わずかに高すぎます。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
正確な知識がなくても「幹部以外の出向もよく聞くような?」、「各府省がいちいち職員出向の際に総務大臣の事前承認?」といった部分に違和感を覚えるのではないでしょうか。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
試験時点において、定年の延長が計画されていたり、役職定年制度はありますが「国家公務員の定年制が廃止された」という事実はありません。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 は妥当です。
「国家公務員の労働基本権が制約されている」という点も関連づけておさえておくとよいです。

以上より、正解は 5 です。

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