公務員試験 2020年 国家一般職(行政) No.9解説

 問 題     

行政組織と行政委員会に関する次の記述のうち,妥当なのはどれか。

1.国地方係争処理委員会は,選挙で選出され内閣総理大臣が任命する 5 人の委員で構成される合議制の委員会であり,令和元(2019)年9 月には,関西国際空港の移転に関する泉佐野市の審査申出に対して審査し,内閣総理大臣に必要な措置を講ずるよう勧告した。

2.原子力安全委員会は,国家行政組織法第3 条に基づいて,東日本大震災への対応を主な目的に平成24(2012)年に環境省の外局として設置された。この委員会は,国務大臣を委員長とする行政委員会であり,事務局として復興庁が設置されている。

3.大森彌は,日本の行政組織の特徴として,それぞれの組織の職務分掌が明確であり,それゆえに個人の役割も明確になっていることや,外形的に個々人が独立して,区切られた空間で執務する形態などを指摘し,これを「大部屋主義」と呼んだ。

4.P.ダンリーヴィーは,1980 年代に組織形整(bureau-shaping)モデルを提唱し,行政組織の上層部は,政策の企画立案等の仕事の面白さを重視するため,電気・ガスなどの社会インフラに関わる企業の活動を行政組織に内部化することで組織や予算の規模を大きくしたいというインセンティブを持つとした。

5.英国で導入されたエージェンシー制度や,日本で導入された独立行政法人制度は,いわゆるNPM(New Public Management)という概念による行政改革に基づいており,C.フッドは,NPM の要素として,公共部門における競争の重視や,民間部門の経営手法の強調等を指摘した

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説     

選択肢 1 ですが
国地方係争処理委員会は、国と地方公共団体との間のトラブル解決を目的とし、総務省に設置される合議制の第三者機関です。国会の同意を得て、総務大臣が任命した5人の委員で構成されます。「選挙で選出」ではありません。また、泉佐野市の審査申出は「ふるさと納税対象団体としての非指定に関して」です。「関西国際空港移転に関して」ではありません。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
前半部分ですが、記述は「原子力規制委員会」についてです。(参考 国家一般職 教養 H25no28)。原子力規制委員会の設置に伴い、内閣府「原子力安全委員会」は廃止されました。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
「個々人が独立して、区切られた空間」は「個室主義」と呼ばれます。大森彌が指摘した「大部屋主義」ではありません。知識としてなくても、内容と単語の対応に違和感を覚えるのではないでしょうか。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
ダンリーヴィー組織形整モデルは、官僚の能動的戦略によって行政サービスの民間委託や行政組織の民営化といった官僚制組織の縮小を説明したモデルです。官僚組織構成員を組織内の地位によって上層、中層、下層官僚の3分類し、それぞれの効用最大化行動が異なることをモデルの前提とすることで、単純な仮定の下では官僚制組織は増大するはずなのに、現実として行政組織の民営化等を通じた縮小が起きる流れ を説明しました。

選択肢 5 は妥当です。
フッドによる NPM の要素に関する説明です。

以上より、正解は 5 です。

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