公務員試験 2020年 国家一般職(行政) No.5解説

 問 題     

我が国の政治制度に関する次の記述のうち,妥当なのはどれか。

1.第二次世界大戦後における我が国の執政制度は,議院内閣制に分類される。この制度では,国民は選挙によって首相を直接選出することはできず,国会議員が衆議院議員の中から首相を選ぶ。首相の地位は国会の信任に基づいているため,衆議院が内閣不信任決議案を可決した場合,内閣は直ちに総辞職する必要がある。

2.我が国の国会は,日本国憲法の規定に従って通年で開催されており,法案が法律として成立するのは衆議院と参議院の両院で可決された場合に限られる。各法案に関する実質的な審議は各院の本会議で行われるため,我が国の国会は英国議会と同様に,本会議中心主義を採っているとみなされる。

3.昭和22(1947)年から平成5(1993)年までの衆議院議員総選挙では中選挙区制が採用されていた。この制度では各選挙区から10~20 名の議員が選出された。我が国の中選挙区制は単記移譲式とも呼ばれ,有権者は複数の候補者に順位を付ける形式で投票した点で,アイルランドの単記非移譲式とは異なる。

4.平成6(1994)年の制度改革によって,衆議院議員総選挙の選挙制度が小選挙区比例代表並立制に改められた。この制度では,一人の候補者が小選挙区選挙と比例代表選挙の両方に立候補できる重複立候補制が採られている。比例代表選挙は拘束名簿式で行われ,有権者は政党名を投票用紙に記入して投票を行う。

5.昭和22(1947)年以降,各地方公共団体では,議会議員だけでなく,首長も住民の直接選挙によって選出されている。そのため,我が国における地方政治の仕組みは一元代表制に分類される。地方議会の議員選挙は大選挙区制に基づいて行われており,住民は複数の候補者を選択する形式で投票を行う。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

選択肢 1 ですが
衆議院が内閣不信任決議案を可決した場合、内閣は「衆議院解散か内閣総辞職どちらかを選ばなければなりません」。「内閣は直ちに総辞職する必要がある」わけではなく、2つの選択肢のどちらかを選びます。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
国会には会期があり、「通年で開催」されていません。また、法案成立は、参議院で否決されても、衆議院が出席議員の 2/3 以上で再可決すれば成立します。衆議院の優越の一つです。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
第 1 文は妥当です。昭和 22(1947)年から平成 5(1993)年までの衆議院議員総選挙では、中選挙区制が採用されていました。第 2 文ですが、中選挙区制度とは、1つの選挙区から、原則 3 ~ 5 人程度が選出される制度です。「各選挙区から10~20 名の議員が選出」されていたわけではありません。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 は妥当です。
平成 6 (1994) 年 の選挙制度改革に関する記述です。

選択肢 5 ですが
議員だけでなく、長をそれぞれ住民の直接選挙で選んでいるため「二元代表制」です。一元代表制ではありません。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 4 です。

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