公務員試験 2019年 国家一般職(教養) No.39解説

 問 題     

我が国の 2000 年以降の経済・財政事情に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.我が国では,人口が 2005 年に戦後初めて減少に転じた。一方で,完全失業率は,2008 年のリーマン・ショック後に高度経済成長期以降初めて 7 % を超えた。また,派遣労働者を含む非正規雇用者の全雇用者に占める割合は一貫して増加しており,2016 年には 50 % を超えた。

2.中小企業基本法によると,中小企業の定義は業種によって異なるが,小売業では,常時使用する従業員の数が 50 人以下の企業は中小企業に分類される。2014 年には,我が国の中小企業は,企業数では全企業の 90 % 以上を,従業員数では全企業の従業員数の 50 % 以上を占めている。

3.国内で一定期間内に新たに生み出された価値の合計額を GDP といい,GNP に市場で取引されない余暇や家事労働などを反映させたものである。また,経済成長率は一般に,GDP の名目成長率で表され,2010 年以降における GDP の名目成長率は 2 % 台で推移している。

4.我が国では,国民皆保険・国民皆年金が実現しており,2015 年度には国民所得に対する租税・社会保障負担の割合は 50 % を超え,OECD 諸国内でも最も高い水準にある。また,我が国の歳出に占める社会保障関係費の割合も年々高まっており,2015 年度には 50 % を超えた。

5.我が国では,財政法により,社会保障費などを賄う特例国債(赤字国債)を除き,原則として国債の発行が禁止されている。我が国の歳入に占める国債発行額の割合は一貫して高まっており,政府長期債務残高は 2017 年度には対 GDP 比で 3 倍を超えた。

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説     

選択肢 1 ですが
第一文は妥当です。我が国の人口が初めて減少に転じたのは 2005 年です。以降、日本の総人口は H20 年(2008 年)をピークに、持続的に減少傾向です。完全失業率ですが、リーマン・ショック後、戦後最大の「5.5%」まで上昇です。7% には至っていません。また、非正規雇用者の割合は一貫して増加していますが、50% を超えてはいません。試験時点で 約 40% です。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 は妥当です。
中小企業についての記述です。

選択肢 3 ですが
GNP が、GDP +海外からの純所得 です。第一文が誤りです。また、一般に経済成長率は 、物価変動の影響を取り除いた GDP の「実質」成長率で表されます。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
国民所得に対する租税・社会保障負担の割合を「国民負担率」といいます。試験時点において 約 45% です。50% を超えてはいません。また、OECD 諸国内では中~低水準です。また、歳出に占める社会保障関係費の割合も増加傾向ですが、試験時点において 40% を下回っています。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
前半部分は妥当です。財政法により原則国債発効禁止です。特例国債は特例法により発効しています。後半部分ですが、政府長期債務残高の対 GDP 比は 約 2.5 倍です。3 倍を超えてはいません。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 2 です。

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