公務員試験 2019年 国家一般職(教養) No.38解説

 問 題     

我が国の司法に関する記述 A~D のうち,妥当なもののみを挙げているのはどれか。

A:違憲審査権は全ての裁判所に認められており,この権限は,いずれの裁判所においても,刑事裁判や民事裁判などの具体的な訴訟の中で行使されるが,具体的訴訟とは無関係に法令や国家行為の合憲性を抽象的・一般的に審査することはできない。

B:裁判官は,心身の故障のため職務を果たすことができない場合や,国会の弾劾裁判所で罷免が決定された場合以外は罷免されない。ただし,最高裁判所の裁判官については,任命後最初の衆議院議員総選挙のとき及びその後 10 年を経過した後初めて行われる衆議院議員総選挙ごとに行われる国民審査において,罷免を可とする投票が多数であった場合には罷免される。

C:行政機関が最高裁判所の裁判官の懲戒処分を行うことは,裁判官の職権の独立を保障するため憲法上禁止されているが,下級裁判所の裁判官については,最高裁判所が認めた場合に限り,行政機関が懲戒処分を行うことができる。

D:裁判員制度における裁判員は,裁判官と共に事実認定,被告人の有罪・無罪の決定及び量刑の評議を行うが,証人に対する尋問及び被告人に対する質問については,高度な法的知識が必要となるため,裁判官のみが行うこととされている。

1.A,B
2.A,D
3.B,C
4.B,D
5.C,D

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説     

記述 A は妥当です。
違憲審査権に関する記述です。

記述 B は妥当です。
裁判官に関する記述です。

記述 C ですが
憲法第 78 条により、裁判官の懲戒処分は、行政機関がこれを行うことはできません。「下級裁判所の裁判官については,最高裁判所が認めた場合に限り,行政機関が懲戒処分を行うことができる」わけではありません。記述 C は誤りです。

記述 D ですが
裁判員は、判断に必要な事項について、裁判長に告げた上で、証人や被告人に対して尋問や質問をすることができます。記述 D は誤りです。

以上より、正解は 1 です。

コメント