公務員試験 2019年 国家一般職(教養) No.31解説

 問 題     

光の性質に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.光は,いかなる媒質中も等しい速度で進む性質がある。そのため,定数である光の速さを用いて,時間の単位である秒が決められており, 1 秒は,光がおよそ 30 万キロメートルを進むためにかかる時間と定義されている。

2.太陽光における可視光が大気中を進む場合,酸素や窒素などの分子によって散乱され,この現象は波長の短い光ほど強く起こる。このため,青色の光は散乱されやすく,大気層を長く透過すると,赤色の光が多く残ることから,夕日は赤く見える。

3.太陽光などの自然光は,様々な方向に振動する横波の集まりである。偏光板は特定の振動方向の光だけを増幅する働きをもっているため,カメラのレンズに偏光板を付けて撮影すると,水面やガラスに映った像を鮮明に撮影することができる。

4.光は波の性質をもつため,隙間や障害物の背後に回り込む回折という現象を起こす。シャボン玉が自然光によって色づくのは,シャボン玉の表面で反射した光と,回折によってシャボン玉の背後に回り込んだ光が干渉するためである。

5.光は,絶対屈折率が 1 より小さい媒質中では,屈折という現象により進行方向を徐々に変化させながら進む。通信網に使われている光ファイバーは,絶対屈折率が 1 より小さいため,光は光ファイバー中を屈折しながら進む。そのため,曲がった経路に沿って光を送ることができる。

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説     

選択肢 1 ですが
光速は、物質中では、真空中よりも遅くなります。また、空気中よりも水中の方が光は遅くなります。「いかなる媒質中も等しい速度で進む」わけではありません。ちなみに、1秒の定義は、セシウム原子時計に基づいて定められています。光の速さを用いているわけではありません。 選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 は妥当です。
光の散乱についての記述です。

選択肢 3 ですが
様々な方向に振動している中から、一定の方向に振動する特定の波だけを「取り出す」のが偏光板です。「増幅」するわけではありません。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
シャボン玉が自然光によって色づくのは、光が薄い膜により屈折したり反射したりして表面で反射した光と干渉するためです。「回折によって背後に回り込んだ光が干渉」するわけではありません。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
光ファイバー中では、光は全反射しながら進みます。また、光ファイバーの絶対屈折率は「1よりも大きい」です。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 2 です。

 

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