問 題
最近の我が国の労働市場に関する次の記述のうち,妥当なのはどれか。
1.完全失業率についてみると,2017 年度平均で2 % を下回り,1993 年度以来の低い水準となった。また,有効求人倍率(新規学卒者を除きパートタイムを含む)は 2017 年度平均で 0.9 倍であり 1 倍を下回っているものの,1973 年度以来の高い水準となった。
2.厚生労働省「労働経済動向調査」により 2017 年平均の常用労働者過不足判断 D.I.をみると,産業別では金融業・保険業の人手不足感が運輸・郵便業,医療・福祉,建設業よりも高くなっている。また,日本銀行「全国企業短期経済観測調査」の雇用人員判断D.I.によると,2018 年半ばでは,中小企業よりも大企業で人手不足感が高くなっている。
3.少子高齢化によって我が国の生産年齢人口(15~64 歳人口)は 2008 年をピークに減少を続けている。また,総務省「労働力調査」によると,就業者数は 2000 年代後半以降減少傾向にあり,2017 年においては 5,000 万人を下回っている。
4.総務省「労働力調査」により,2017 年における女性の年齢階級別労働力率をみると,「M字カーブ」を描いているものの,1997 年と比較して,M字の谷は浅くなっている。また,M字の底(M字の山と山の間の谷で最も低い部分)となる年齢階級は2017 年では 35~39 歳となっている。
5.総務省「労働力調査」によると,65~69 歳の高齢者の労働参加率は,2000 年代後半の世界的な景気後退以降,低下を続け,2017 年には約 70 % となった。また,2017 年における 65~74 歳の労働参加率は,OECD 諸国の平均よりも低い水準となっている。
解 説
選択肢 1 ですが
上のグラフのように、2017 年平均の完全失業率は 2. 8 %です。1993 年以来の低い水準ですが、2 % は下回っていません。選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 ですが
人手不足感が「高い」のが、運輸・郵便、医療・福祉、建設業という組み合わせと判断できるのではないでしょうか。また、中小企業の方が人手不足感は高いという点でもよいと思われます。選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 ですが
就業者数の総数は、本試験時点において、ここ 10 年間 6500 万人程度でほぼ横ばいです。「2017 年においては、5,000 万人を下回っている」ということはありません。選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 は妥当です。
M 字カーブとは、年齢層別に見た女性労働率のグラフで特徴的な曲線です。結婚や出産を機にいったん離職し、育児が一段落したら再び働きだす女性が多いという、日本の特徴を反映したグラフです。近年解消されつつあります。
選択肢 5 ですが
高齢者の労働参加率は上昇傾向にあります。本試験時点において、65 ~ 69 歳の労働参加率は 50% 弱です。OECD 平均と比べても高い水準です。選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 4 です。
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