公務員試験 2019年 国家一般職(行政) No.31解説

 問 題     

効用を最大化する,ある消費者を考える。この消費者は,所得の全てをX財とY財の購入に充てており,効用関数が以下のように示される。

u = xy (x ≧ 0,y ≧ 0) (u:効用水準,x:X財の消費量,y:Y財の消費量)

この消費者の所得は120 であり,当初,X財の価格は 3 ,Y財の価格は 15 であったとする。いま,Y財の価格は 15 で変わらず,X財の価格のみが 3 から 12 に上昇したとすると,価格の変化前の効用水準を実現するのに必要な最小の所得はいくらか。

1. 200
2. 240
3. 280
4. 320
5. 360

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説     

X 財を x 個、Y 財を y 個買うとします。所得が 120 の時は、3x + 15y = 120 です。両辺を 3 で割って簡単にしておくと、x + 5y = 40・・・(1) です。これが予算制約です。

効用関数の式に、(1)を変形した x = 40 – 5y を代入して、効用関数を「2文字の式」→「1文字の式」にします。u = (40-5y)y = -5y2 + 40y です。

効用最大の時、この関数は、微分して 0 です。u’ = -10y + 40 なので、u’ = 0 となるのは、y = 4 の時です。(1)に代入して、x = 20 とわかります。x = 20、y = 4 なので、効用は 20 × 4 = 80 です。

X 財の価格が 12 になった場合について考えます。予算制約式の左辺が変わって 12x + 15y となります。右辺の候補は、選択肢から 200,240,280,320,360 の5つです。右辺を1つ1つ仮定して、所得が 120 だった 時と同様に、最大となる効用を求めていき、効用が 80 となればそれが答えです。

選択肢 1 から考えても、もちろんよいのですが、所得が大きいほど、いっぱい買えて当然効用は高くなると考えられます。従って、選択肢 2 から考えるのがベターです。本番でもぜひ、時間の節約のため、このように解きたい所です。選択肢 2 を正解と仮定し、右辺を 240 とした際に最大効用が 80 に満たなければ、選択肢 1 の検討は不要になるからです。

選択肢 2 が正解と仮定し、予算制約式を 12x + 15y = 240 とします。両辺 3 で割ると 4x + 5y = 80 です。∴ x = 20 – 5y/4 となります。効用関数の式に代入すれば u = (20 – 5y/4)y = -5y2/4 + 20y → 微分して u’ = -5y/2 + 20 です。u’ = 0 となるのは、y = 8 の時です。この時、x = 10 です。効用は 10 × 8 = 80 となり、価格の変化前の効用水準が達成できています。

以上より、正解は 2 です。 

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