公務員試験 2019年 国家一般職(行政) No.29解説

 問 題     

委任に関する次の記述のうち,妥当なのはどれか。

1.受任者は,委任者が報酬の支払義務を負わない旨の特約がない限り,委任者に報酬の支払を請求することができるが,原則として,委任事務を履行した後でなければ,報酬の支払を請求することができない。

2.委任は,当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し,相手方がこれを承諾することによって成立するが,当該承諾は書面によって行わなければならない。

3.委任は,各当事者がいつでもその解除をすることができるが,当事者の一方が相手方に不利な時期に委任の解除をした場合には,やむを得ない事由があっても,その当事者の一方は,相手方の損害を賠償しなければならない。

4.弁護士に法律事務の交渉を委託する委任が解除された場合,受任者である弁護士は,法律事務の交渉の相手方に当該委任が解除された旨を通知しなければならず,その通知をしないときは,委任が解除されたことをその相手方が知るまでの間,委任の義務を負う。

5.受任者が委任者に引き渡すべき金銭や委任者の利益のために用いるべき金銭を自己のために消費した場合は,受任者は,消費した日以後の利息を支払わなければならず,さらに利息以上の損害があるときには,その賠償責任も負う。

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説     

選択肢 1 ですが
民法 648 条 1 項によれば、受任者は、特約がなければ、委任者に対して報酬を請求することができません。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
書面(委任状)は、委任契約成立に不要です。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
やむを得ない事由があった場合は「賠償しなければならない」わけではありません。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
委任者と、受任者である弁護士間の委任契約が解除されたことを、交渉相手方に通知する義務はありません。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 は妥当です。
民法 647 条の通りです。

以上より、正解は 5 です。

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