問 題
「大気の汚染に係る環境基準について」に規定する光化学オキシダントに関する記述として、誤っているものはどれか。
- 光化学オキシダントの環境基準は、光化学オキシダントによる大気の汚染の状況を的確には握することができると認められる場所において、定められた測定方法により測定した場合における測定値によるものとする。
- 光化学オキシダントとは、オゾン、パーオキシアセチルナイトレートその他の光化学反応により生成される酸化性物質(中性ヨウ化カリウム溶液からヨウ素を遊離するものに限り、二酸化窒素を含む。)をいう。
- 光化学オキシダントの環境基準は、維持されまたは早期に達成されるよう努めるものとする。
- 光化学オキシダントの環境基準は、1時間値が0.06ppm以下であることとする。
- 光化学オキシダントの測定方法は、中性ヨウ化カリウム溶液を用いる吸光光度法若しくは電量法、紫外線吸収法又はエチレンを用いる化学発光法とする。
解 説
(1)は正しいです。重要事項を含む選択肢ではありませんが、書かれていることが基本的な内容で、かつ、特に矛盾点もないため、正しい記述だと判断しやすいと思います。
(2)が誤りですが、これはややマイナーな知識なので、消去法で正解できればよいと思います。
まず、光化学オキシダントとは、オゾン、パーオキシアセチルナイトレートその他の光化学反応により生成される酸化性物質のことです。これは基本事項といえますが、問題は(2)に書かれている( )内の記述です。
(2)の記述では「光化学反応により生成される酸化性物質(中性ヨウ化カリウム溶液からヨウ素を遊離するものに限り、二酸化窒素を含む。)」となっていますが、二酸化窒素は光化学オキシダントの元となる物質(前駆物質)であり、光化学反応によって生成される酸化性物質ではありません。
そのため、(2)の「二酸化窒素を含む」が誤りで、ここを「二酸化窒素を除く」とすると正しい文章になります。
(3)は正しいです。一酸化炭素、浮遊粒子状物質(SPM)、光化学オキシダントの環境基準は、達成期間が具体的には明記されておらず、「維持されまたは早期に達成されるよう努めるもの」とされています。
一方で、二酸化いおうと二酸化窒素の環境基準は、達成期間が定められています。二酸化いおうについては原則として5年以内、二酸化窒素については原則として7年以内です。
(4)も正しいです。光化学オキシダントの環境基準は「1時間値が0.06ppm以下」です。
また、本問とは直接関係はありませんが、光化学オキシダント以外の環境基準の数値も覚えておくとよいと思います。まだ知識が定着していない方は、環境基準の達成率(大気環境)のページに各物質の環境基準を載せてあるので、参照してください。
(5)も正しいです。光化学オキシダントの測定方法には以下の4つがあります。
- 中性ヨウ化カリウム溶液を用いる吸光光度法
- 中性ヨウ化カリウム溶液を用いる電量法
- 紫外線吸収法
- エチレンを用いる化学発光法
以上から、正解は(2)となります。
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