R6年 水質概論 問8 問題と解説

 問 題     

地下水汚染に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 六価クロムは、鉛に比べて、土壌・地下水中を移動しやすい。
  2. ひ素、ふっ素に関しては、自然的要因による汚染事例が多い。
  3. 揮発性有機化合物(VOC)は、鉛に比べて、土壌・地下水中を移動しやすい。
  4. ベンゼンは、テトラクロロエチレンよりも密度が大きく、地中深くに浸透しやすい。
  5. トリクロロエチレンは、土壌や地下水中の嫌気性条件下で、分解作用を受けることがある。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

(1)は正しいです。六価クロムは鉛に比べて水溶性が高く、土壌や地下水中で移動しやすいため、地下水を汚染しやすい特徴があります。これに対して、鉛は不溶性の化合物を作りやすく、移動しにくいです。

(2)も正しいです。地下水におけるひ素やふっ素は、主に自然由来です。自然界に存在する鉱物や岩石から、ひ素やふっ素が少しずつ溶出しています。

(3)も正しいです。揮発性有機化合物(VOC)は揮発性があり、水にも溶けやすいので、鉛に比べて地下水中を移動しやすく、汚染の広がりが早い傾向があります。

(4)は誤りですが、これはややマイナーな知識なので、消去法で正解できればよいと思います。ベンゼンの密度は約0.88[g/cm3]、テトラクロロエチレンの密度は約1.62[g/cm3]なので、ベンゼンのほうが密度が小さいです。そのため、テトラクロロエチレンのほうが地中深くに浸透しやすいです。

(5)は正しいです。トリクロロエチレンを含む多くのVOCは、地下水中の嫌気性微生物によって分解されます。

以上から、正解は(4)となります。

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