R6年 大規模水質特論 問7 問題と解説

 問 題     

鉄鋼業のコークス炉ガス精製排水とその処理に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. コークス炉ガス精製排水は、コークス炉ガスに水を噴霧する際に発生する凝縮水で、安水と呼ばれる。
  2. 蒸気ストリッピング処理により、亜硝酸やシアンを除去した後で、活性汚泥法などにより生物処理するのが一般的である。
  3. 高分子の油分は、コークス粒を充塡したコークフィルターで除去するが、これは、コークスの多孔質である特性を生かしたものである。
  4. 活性汚泥処理では、フェノールを主成分としたBOD物質と、残存するアンモニア、シアン、チオシアンなどを除去する。
  5. 凝集沈殿では、生物処理水のSS及び残留するCOD、色度成分、りんなどを凝集剤によって凝集し、沈降分離する。

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説     

(1)は正しいです。安水とは、コークス炉ガスに水を噴霧して冷却する際に発生する凝縮水のことで、フェノール、アンモニア、シアン、コークス粉などが含まれます。

また、本問とは直接関係ありませんが、安水の処理については頻出問題なので、R1年 問7を参照して、ぜひ頭に入れておいてほしいです。

(2)が誤りです。コークス炉ガス精製排水(安水)は、脱安ストリッパーにおける蒸気ストリッピング処理でアンモニア、シアンを除去した後、活性汚泥法などで生物処理するのが一般的な水処理方法です。

よって、(2)の「亜硝酸」が誤りで、正しくは「アンモニア」となります。そもそも、(1)の解説の通り、安水の処理で対象とするのはフェノールやアンモニア、シアン、コークス粉などであり、亜硝酸は問題となりません。

(3)は正しいです。排水に含まれる高分子の油分は、コークスの多孔質である特性を生かしたコークフィルターで除去します。

(4)も正しいです。活性汚泥の曝気槽では、フェノールを主成分としたBOD物質や、残存するアンモニア、シアン、チオシアンなどを除去することができます。

(5)も正しいです。活性汚泥法の後段の凝集沈殿槽では、SS、難分解のCOD、色度成分、りんなどを除去することができます。凝集剤には塩化鉄やポリ硫酸鉄などが用いられます。

以上から、正解は(2)となります。

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