問 題
燃焼で生成される窒素酸化物に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 通常の燃焼条件では、NO2の生成量がNOのそれを上回ることはない。
- 燃焼領域で燃料中のN分が分解し、N2とともにフューエルNOxが生成される。
- 燃料中のN分のフューエルNOへの変換率は、およそ12~50%の範囲にある。
- プロンプトNOxの生成は、炭化水素燃料の燃焼に特有の現象である。
- N分を含まない炭化水素燃料の燃焼では、火炎中にシアン化物は存在しない。
正解 (5)
解 説
(1)は正しいです。燃焼によって生成されるNOxは、そのほとんど(9割以上)がNOです。その後、NOが大気中に排出され、大気中のオゾンなどと反応するとNO2に変わります。よって、NO2の生成量はNOよりもずっと少ないです。
(2)も正しいです。燃料由来のフューエルNOxと空気由来のサーマルNOxが逆になっている記述もよく出題されますが、今回は燃料の話でフューエルNOxとなっているため、正しい記述です。
(3)も正しいです。燃料中のN分のフューエルNOへの変換率は、大体1割~5割といわれています。
(4)も正しいです。サーマルNOxのうち、Zeldovich機構に従わないものをプロンプトNOxといいます。一酸化炭素や水素の燃焼はZeldovich機構に従い、炭化水素の燃焼ではZeldovich機構に従いません。よって、プロンプトNOxの生成は、炭化水素燃料の燃焼に特有の現象だといえます。
(5)が誤りです。まず、燃料にN分が含まれていなくても空気中にN分はいくらでもあるため、フューエルNOxは発生しませんがサーマルNOxは発生します。また、今回は「N分を含まない炭化水素燃料」なので、このサーマルNOxは(4)で解説したプロンプトNOxのパターンとなります。
プロンプトNOxの生成過程において、石炭中に含まれる炭素(C)や水素(H)と、空気中の窒素(N)とが反応して、HCNなどのシアン化合物が中間体として存在しています。火炎にシアン化合物が含まれるのはプロンプトNOxの特徴として押さえておきたい知識です。
以上から、正解は(5)となります。
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