R5年 水質有害物質特論 問4 問題と解説

 問 題     

有機水銀排水の処理に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 塩素による酸化分解では、CH3-Hg結合は強酸性下において分解される。
  2. 塩素による酸化分解では、有機水銀化合物のアルキル基の炭素数が大きいほど分解されにくい。
  3. 塩素により酸化分解した後、硫化物法で処理する。
  4. 硫化物法の後処理として、吸着処理を行う。
  5. 水銀専用キレート樹脂としては、ジチオカルバミド酸基を有するものなどがある。

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説    

(1)は正しいです。塩素による酸化分解は、pHが低いほど分解しやすくなります。よって、強酸性下では、CH3-Hg結合が容易に分解されます。

(2)が誤りです。塩素による塩化水銀(Ⅱ)への分解は有機水銀化合物のアルキル基の種類によって難易度が変わり、アルキル基の炭素数が小さいほど分解しにくいです。実際、公害病である水俣病の主な原因物質は、炭素数が最も少ない(1つ)のメチル水銀でした。

よって、(2)の「大きいほど分解されにくい」が誤りで、正しくは「大きいほど分解されやすい」または「小さいほど分解されにくい」となります。

(3)と(4)はともに正しいです。有機水銀排水は、塩素によって酸化分解して完全に塩化物とした後、硫化物法で処理します。さらに、硫化物法の後処理として、吸着処理を行います。

(5)も正しいです。水銀用のキレート樹脂として使われるのは、硫黄系の官能基を有するものが多いです。具体的には「ジチオカルバミド酸基」や「チオ尿素基」を配位基としてもつものが挙げられます。

もしこれらの名称を覚えるのが大変だと感じる場合には、硫黄を意味する「チオ」という部分だけでも押さえておいてください。

以上から、正解は(2)となります。

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