R5年 大規模大気特論 問1 問題と解説

 問 題     

ダウンウォッシュの発生に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 煙が煙突の背後や、付近の建造物によって発生する渦に巻き込まれ、下降する現象である。
  2. 発生した場合、非発生時に比べ着地濃度が高くなる。
  3. 発生の有無は、煙の吐出速度や排出口高さの風速の影響を受ける。
  4. 周囲の建造物の影響を避けるには、煙突高さがその2.5倍以上あることが望ましい。
  5. 煙突や付近の建造物による発生の有無の判定に関しては、ブリッグスによる簡易推定法がある。

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説    

ダウンウォッシュは、煙突から出た煙が煙突自身やそばの建物によって渦を作り、それにより煙が地上へと降りてしまう現象のことです。このうち建造物によって発生する場合は、特にダウンドラフトと呼ぶことがあります。

これが起こると煙に含まれる汚染物質が拡散せず、近くに濃度の高いまま着地することになります。よって、ダウンウォッシュが起こらないように工夫する必要があります。

ダウンウォッシュを防ぐ方法には、以下の3点があります。

  • 吐出速度を風速の1.5倍以上とする
  • 煙突高さを付近の建造物の2.5倍以上とする
  • 渦が生じにくい形状の煙突にする

以上が、ダウンウォッシュの基本的な説明となります。続いて、これを踏まえて選択肢を見ていきます。

(1)、(2)、(4)については上記で解説したことと同様であるため、いずれも正しい内容です。

(3)について、煙の吐出速度が速いほど、そして風速が速いほど、排出された煙は早く広く拡散します。そのため、(3)も正しい記述です。

(5)について、ブリッグスによる簡易推定法は、ダウンウォッシュ発生の有無の判定ではありません。ダウンウォッシュが発生する条件下での煙の高さ(有効煙突高さ)から、ダウンウォッシュの効果を見積もるための方法です。

よって、正解は(5)となります。

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