R5年 大規模水質特論 問5 問題と解説

 問 題     

排水を処理して再び用水として使用する再生利用に関する記述として、不適切なものはどれか。

  1. 極めて特殊な排水は別として、排水からも良質な用水を得ることは可能であるが、再生利用するか否かは経済性の問題である。
  2. 製造工程内のある工程の排水を原水とし、これに適切な処理を施して同一工程の同一用途に再生利用する場合、局部的再生利用と呼ばれる。
  3. 工場内の各工程から発生する水を総合した後、適切な処理を施し、処理水を使用可能な工程で再利用する場合、工場単位再生利用と呼ばれる。
  4. 工業団地などで、各工場の排水を集中した後、適切な処理を施し、再び各工場に工業用水として供給する場合、地域的再生利用と呼ばれる。
  5. 局部的再生利用、工場単位再生利用及び地域的再生利用の3つの再生利用方式のうち、工場単位再生利用が最もよく実施されている。

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説    

(1)は正しいです。重要事項を含む選択肢ではありませんが、書かれていることが基本的な内容で、かつ、特に矛盾点もないため、正しい記述だと判断しやすいと思います。

(2)~(4)はいずれも正しいです。再生利用の3つの方式について、以下に整理しておきます。これらはきちんと区別できるようにしておいてください。

  • 局部的再生利用 :工場内のある製造工程からの排水を処理して、同一工程の同一用途に再使用する方式
  • 工場単位再生利用:工場内の各工程からの排水をまとめて処理して、それを使用可能な工程で再利用する方式
  • 地域的再生利用 :工場団地単位で各工場の排水を集中処理して再び各工場に供給する方式

(5)が誤りです。3つの再生利用方式のうち最もよく使われているのは、「工場単位再生利用」ではなく、「局部的再生利用」となります。

その理由として、局部的再生利用の場合、その工程において、使用すべき水の質も発生する排水の質もはっきりしています。そのため、排水を再生利用するために必要な処理も最低限必要なことだけをすればよいので、経済的だからです。

一方で、地域的再生利用の場合、色々な工場から出た排水が混ざっているので、色々な種類の有害物質が含まれていることが予想されます。さらに、再生利用したあとにその水を使う用途も工場によって様々なので、どの工場でも利用できるように、かなりきれいな水まで再生させなければいけません。

これらの理由から、地域的再生利用の場合には高度な水処理を行う必要があるので、経済的に不利となります。よって、この方式を採用する例は少ないです。

また、工場単位再生利用については、局部的再生利用と地域的再生利用の中間的な位置づけとなります。

以上から、正解は(5)です。

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