R4年 大気有害物質特論 問6 問題と解説

 問 題     

ふっ素化合物の性質、処理に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. ふっ素を含む排ガスの処理には、水酸化ナトリウムの水溶液が吸収剤として用いられる。
  2. ふっ化水素の解離定数は比較的小さく、その水溶液は弱い酸性である。
  3. ふっ化水素の水による吸収では、ガス側境膜抵抗が吸収速度を支配する。
  4. 四ふっ化けい素を含む排ガスの処理には、密な充塡物を用いた充塡塔が使用される。
  5. ふっ化水素水溶液の処理装置には、ステンレス鋼など耐食性の材料が使用される。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説    

(1)は正しいです。ふっ素を対象とする場合、吸収剤として水酸化ナトリウム溶液や水酸化カリウムが用いられます。特に水酸化ナトリウム水溶液のほうは頻出事項なので、優先的に押さえておくべき知識です。

(2)も正しいです。ふっ化水素水溶液は弱酸性ですが、強い腐食性を有していて、多くの金属やけい素化合物を溶解・腐食します。

(3)も正しいです。

気体が液体に充分に溶けやすい(溶解度が大きい)とき、液体側はいくらでも気体を受け入れられる状態にあるため、気体の液体への吸収速度は気体側に依存することになります。つまり、この場合はガス側境膜抵抗が吸収速度を支配します。

一方、液体に溶けにくい(溶解度が小さい)ような気体を溶かす際は、液体側に現状溶け込んでいる濃度が問題となってくるため、その吸収速度は液体側に依存します。つまり、この場合は液側境膜抵抗が吸収速度を支配します。

今回のふっ化水素は水にとても溶けやすいので、ガス側境膜抵抗が吸収速度を支配します。

(4)が誤りです。四ふっ化けい素を含む排ガスの吸収処理装置として密な充塡物を用いた充塡塔を使用すると、析出した二酸化けい素によって充塡塔が閉塞してしまうおそれがあります。そのため、密な充塡物を用いた充塡塔を使うのは不適当です。

(5)は正しいです。(2)の解説にも書いた通り、ふっ化水素水溶液は腐食性が強く、ガラスやセラミックス、陶器などを腐食させます。そのため、ステンレス鋼など耐食性の材料を用いる必要があります。

以上から、正解は(4)となります。

コメント