問 題
JISで規定される燃料の分類に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 液化石油ガスは、用途により2種類に分けられ、さらに組成によって細分される。
- 灯油は、用途により2種類に分けられる。
- 軽油は、硫黄分により5種類に分けられる。
- 重油は、動粘度により3種類に大別され、さらに細分される。
- 石炭は、燃料比や発熱量により分けられる。
正解 (3)
解 説
(1)は正しいです。液化石油ガスは用途によって1種、2種に大別され、さらにそれぞれが組成によって数種類(1種は1~3号、2種は1~4号)に細分されます。
(2)も正しいです。灯油は用途によって1号、2号に分けられます。
(3)が誤りです。軽油が5種類に分類されるのはその通りですが、その基準は硫黄分ではなく、流動点[℃]です。流動点とは、液体状の軽油などをどんどん冷やしていったとき、固まり出す温度のことです。
いわゆる凝固点(または融点)と同じような感じですが、凝固点や融点は純粋な物質に対して用いる言葉であるのに対し、軽油や重油などは様々な物質の混ざりあった混合物なので、このような場合には流動点という呼び方をします。
ちなみに、5種類の軽油の流動点の大小関係は「特3号 < 3号 < 2号 < 1号 < 特1号」となります。
(4)は正しいです。重油は、動粘度により1種、2種、3種に大別されます。さらに、1種の中でも硫黄分によって1号と2号に分かれ、3種については動粘度によって1号、2号、3号に細分されます。2種だけは細分類がありません。
(5)も正しいです。石炭は燃料比や発熱量によって、無煙炭、歴青炭、亜歴青炭、褐炭という4種類に分けられます。左側がより優れていて、右側がより劣っている石炭ということになるのですが、優れている石炭ほど、発熱量が高い、燃料比が大きい、硫黄分が少ない、といったような特徴を持ちます。
以上から、正解は(3)となります。
コメント
「左側がより優れていて、右側がより劣っている石炭ということになる」は、見方によっては誤りです。石炭の分類は、石炭化度によるもので、この序列は石炭の「優劣」には必ずしも対応しません。燃料としての石炭では、揮発分が極端に少ない無煙炭の燃焼性は揮発分が多い瀝青炭より劣り、燃焼性の観点からは無煙炭は瀝青炭より劣っています。このため、ボイラでは使用しません。これは一例ですが、炭種の優劣はそれを利用するプロセス等に依存するので、「左側がより優れていて、右側がより劣っている石炭」は適切な表現ではありません。
ご指摘ありがとうございます。
「石炭化度による」というのはその通りなのですが、そう覚えても、では発熱量はどうなのか、硫黄分はどうなのか…といった関係がつかみにくいので、便宜上「優れている」という説明文を残しています。
正確性に欠ける表現ではありますが、試験対策としては有用な覚え方だと思うので、ご容赦ください。
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