R4年 水質有害物質特論 問11 問題と解説

 問 題     

ガスクロマトグラフ質量分析法に関する記述として、正しいものはどれか。

  1. 質量分析計のイオン源は大気圧に維持されている。
  2. クロマトグラム上の分析種の保持時間から定量分析を行い、ピーク面積から定性分析を行う。
  3. 電子イオン化(EI)法では、分子イオンのみが生成し、フラグメントイオンは生成しない。
  4. 正イオン化学イオン化(PICI)法では、電子を分析種に直接照射してイオン化する。
  5. 磁場形質量分析計は、高感度、高質量分解能が得られ、ダイオキシン類の分析に用いられる。

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説    

この問題は難易度の高い問題です。ガスクロマトグラフ質量分析法からの出題は珍しくありませんが、今回は分析装置の各構成部分についての知識が細かく問われています。

実務でこの装置を使っている受験者の方はともかく、そうでなければ馴染みの薄いところだと思うので、出題頻度から考えると、本問は捨て問題扱いにしてしまって構わないと思います。

参考までに、以下に解説を示します。

(1)で、質量分析計のイオン源は「高真空」に維持されています。よって、(1)は誤りです。

(2)で、これはガスクロマトグラフ質量分析法に限らずクロマトグラフ法全般に言えることですが、保持時間だけでは対象物質があることはわかっても、それがどのくらい含まれているのかは判別できません。よって、保持時間から行えるのは「定性分析」です。反対に、ピークの高さまたは面積から「定量分析」を行います。

よって、(2)は「定量分析」と「定性分析」が反対になっています。

(3)で、電子イオン化法は、フィラメントから放出された数十eV以上のエネルギーをもつ電子を成分分子に照射して、イオン化する方法です。照射エネルギーが大きいので、分子イオンだけでなくフラグメントイオンも生成します。よって、(3)も誤りです。

(4)で、正イオン化学イオン化法では、まず電子線を試薬ガス(メタン)に照射し、これをイオン化します。次に、そのイオン化した試薬ガスと試料である分子を反応させることで、試料分子をイオン化します。よって、電子を分析種に「直接照射」するというのは誤りです。

残る(5)は記述の通りなので、正解は(5)となります。

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