R4年 水質有害物質特論 問9 問題と解説

 問 題     

アンモニア・亜硝酸・硝酸排水の処理技術に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. アンモニア排水の生物処理法としては、生物的硝化脱窒素法がある。
  2. アンモニアストリッピング法は、排水のpHをアルカリ性にしてアンモニウムイオンをアンモニアガスに変え、大気に揮散させる方法である。
  3. 不連続点塩素処理法は、アンモニアを塩素酸化して窒素ガスに分解する方法で、高濃度のアンモニアを対象とした処理に用いられる。
  4. 陽イオン交換樹脂はアンモニウムイオンを、陰イオン交換樹脂は硝酸イオン、亜硝酸イオンを吸着する。
  5. 触媒分解法として、高濃度アンモニア排水に空気を供給し、加温加圧条件下で触媒と接触させることでアンモニアを酸化し、無害な窒素ガスとして大気に放出する方法がある。

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説    

この問題の正解は(3)です。前半の「不連続点塩素処理法は、アンモニアを塩素酸化して窒素ガスに分解する方法」というのは正しいですが、これは低濃度のアンモニアの処理方法として使われています。よって、後半の「高濃度のアンモニア」という部分が誤りです。

しかし、(3)の前半部分は押さえておきたい知識である一方、後半部分の「低濃度」というのはマイナーな知識です。前半だけ知っていてもこの文章が誤りだと気づけないため、この選択肢を直接選ぶのは難しいかもしれません。

とはいえ、(3)以外の選択肢がどれも重要または基本的な内容であるため、この問題は消去法で正解できればよいと思います。

(1)で、アンモニア排水の処理法として重要なものには、以下の5つがあります。このうち生物処理法に該当するのは「生物的硝化脱窒素法」だけです。よって、(1)は正しい記述です。

  • 生物的硝化脱窒素法
  • アンモニアストリッピング法
  • 不連続点塩素処理法
  • イオン交換法
  • 触媒分解法

(2)で、アンモニアストリッピング法は、排水のpHをアルカリ性にして、アンモニウムイオンをアンモニアガスに変え、大気に揮散させるというアンモニア処理法です。よって、(2)も正しい記述です。

(4)で、陽イオン交換樹脂はアンモニウムイオン(NH4)などの陽イオンを吸着し、陰イオン交換樹脂は硝酸イオン(NO3)、亜硝酸イオン(NO2)などの陰イオンを吸着します。よって、(4)も正しいです。

(5)も記述の通りで、触媒分解法では、高濃度アンモニア排水に空気を供給し、加温加圧条件下で触媒と接触させることでアンモニアを酸化し、無害な窒素ガスとして大気に放出します。

以上から、正解は(3)です。

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