問 題
有害物質を含む排水の処理に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 重金属は分解できないため、排水から分離する技術が主体となる。
- 1,4-ジオキサンは一般的な凝集沈殿法では除去困難である。
- ベンゼンは生物分解法により比較的容易に分解できる。
- 有機塩素系化合物、農薬、ポリ塩化ビフェニル(PCB)などは、塩素酸化、オゾン酸化あるいは電解酸化により容易に分解される。
- 使用済み吸着剤や有害物質含有スラッジの後処理に注意する必要がある。
正解 (4)
解 説
(1)は正しいです。重金属は高分子化合物などと違って、それ自身が原子サイズ(金属イオン)なので、それ以上分解することができません。よって、分解ではなく排水中から分離することで、系外へと除去する方法を取ります。
(2)も正しいです。1,4-ジオキサンは水によく溶け、さらに沸点も水に近いので全体的に水に似た挙動をとります。そのため、活性炭吸着や凝集沈殿といった汚水処理方法では除去ができません。1,4-ジオキサンを除去するには、オゾン酸化や促進酸化などの分解法を用います。
(3)も正しいです。生物分解法は、ベンゼンやトリクロロエチレン、テトラクロロエチレンなど、多くの有機化合物に有効な排水処理方法です。
(4)が誤りです。有機塩素系化合物、農薬、ポリ塩化ビフェニル(PCB)などは処理が難しい物質の代表例として挙げられます。
そのため、これらを塩素酸化、オゾン酸化、電解酸化で処理しようとしてもなかなかうまくいきません。有機塩素系化合物、農薬、ポリ塩化ビフェニル(PCB)の処理としては、吸着処理がよく用いられます。
(5)は正しいです。使用済み吸着剤や有害物質含有スラッジには有害物質が多く含まれるため、何もせずにそのまま埋立処分するわけにもいきません。薬剤を添加して固めるなど、有害物質が溶出しないような措置が必要となります。
以上から、正解は(4)です。
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