R4年 汚水処理特論 問18 問題と解説

 問 題     

生物的脱りん法では、嫌気条件を経験したポリりん酸蓄積細菌が、引き続く好気条件下で正りん酸を過剰に取り込む現象を利用し、りん含有量の高い余剰汚泥として系外に排出することでりん除去を達成している。

りんを含む有機性排水を生物的脱りん法で処理したとき、処理に伴うりん濃度の低下幅(mg/L)はおよそいくらか。

ただし、正りん酸の過剰取り込み前の活性汚泥中りん含有率を1%、過剰取り込み後の活性汚泥中りん含有率を4%、流入下水1L当たりの余剰汚泥生成量を60mgとする。

  1. 0.6
  2. 1.8
  3. 2.4
  4. 3.0
  5. 4.0

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説    

生物的脱りん法は、活性汚泥によるりんの過剰摂取現象を利用するもので、そのフローは次のように図示されます。

上図において、嫌気槽では細菌に取り込まれたりんが水中に溶け出します。一方、好気槽では反対に細菌がりんを過剰に取り込んで、りん含有量の高い汚泥となります。その後、沈殿池で汚泥を沈めて、一部は余剰汚泥として系外へ排出し、残りは返送汚泥として嫌気槽へ戻します。

ここで重要なのは、上図のフローは定常状態で維持されているということです。つまり、一定のりんを含む排水が流入してくる一方で、同じ量の水とりんが排出されています。このことを念頭に入れながら、以下の解説を読んでください。

上図は、先ほど図示したフローに設問の条件を書き込んだものです。問われているのが「処理に伴うりん濃度の低下幅(mg/L)」なので、ここでは流入下水1[L]あたりの量について考えます。なお、各数値は「汚泥の量[mg]」と「汚泥のりん濃度[%]」を表しています。

フローの流れとして、まずは嫌気槽に排水と返送汚泥が流入します。このとき、排水には60[mg]分の汚泥が含まれていますが、返送汚泥の量は不明なのでα[mg]とします。ここでの汚泥のりん濃度は1[%]です。

次に好気槽で過剰取り込みが行われ、りん濃度が4[%]まで上がります。続いて、それが後段の沈殿池に進みます。そして、沈殿池で沈殿した汚泥のうち、60[mg]分は余剰汚泥として系外へ排出され、残りは返送汚泥として嫌気槽に戻ります。

なぜ余剰汚泥が60[mg]なのかというと、この系が「定常状態」だからです。流入下水に含まれる分の汚泥と同じ分が排出されないと、この系には汚泥が溢れてしまったり、逆に空っぽになってしまいます。そうならないよう、流入分と排出分は同じ量となります。

以上から、図の右下から出ていく余剰汚泥は、量が60[mg]で、りん濃度が4[%]となります。一方で、図の右上から出ていく処理水は、流入下水と比べてこの余剰汚泥に含まれる分のりんが減っていることになります。

つまり、生物的脱りん法の処理によって、流入下水1[L]から

の分だけりんが減ったことになるため、りん濃度の低下幅は2.4[mg/L]だとわかります。

くり返しになりますが、定常状態では入ってきた分と出ていく分が同じになるので上記のような計算が成り立ちます。もともとの活性汚泥中にりんが何%入っているか(今回の場合1%)は、処理に伴う排水のりん濃度の低下幅(mg/L)には影響しません。

よって、正解は(3)です。

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