R4年 汚水処理特論 問16 問題と解説

 問 題     

循環式硝化脱窒素法に関する記述として、最も不適切なものはどれか。

  1. 硝化工程において、アンモニウムイオンを硝酸イオンへ酸化するのに必要な酸素分子数は、アンモニウムイオン数の2倍である。
  2. アンモニアの硝化工程において水素イオンが生じるが、脱窒素工程において同じモル数の水酸化物イオンが生じるため、プロセス全体としてpH低下は起こらない。
  3. 硝化工程は水温低下の影響を受けやすく、特に15℃以下では硝化能力が大きく低下する。
  4. 脱窒素工程で硝酸呼吸を行う通性嫌気性細菌は、好気条件では酸素呼吸を優先して行う。
  5. 排水中BOD成分を利用して脱窒素反応を起こさせるために、脱窒素槽は硝化槽の前に設置される。

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説    

(1)で、アンモニウムイオンを酸化して硝酸イオンとする化学反応式は以下の通りです。よって、酸素分子数はアンモニウムイオン数の2倍なので、(1)は正しいです。

(2)で、硝化工程(アンモニアから硝酸態窒素への反応)の化学反応式は(1)の解説の通りで、水素イオンが生じます。一方、脱窒素工程(硝酸態窒素から窒素への反応)の化学反応式は以下のように書くことができます。なお、Hは水素供与体を表しています。

上記より、硝化工程では1molのアンモニウムイオンから1molの硝酸イオンと2molの水素イオンが生じる一方、脱窒素工程では1molの硝酸イオンから1molの水酸化物イオンが生じることがわかります。よって、水素イオンのほうが水酸化物イオンよりも多いため、プロセス全体としてpHは低下します。

よって、(2)の記述が誤りなので、これが正解となります。

(3)で、硝化菌の増殖速度は、BOD酸化にかかわる従属栄養細菌に比べて温度により大きく影響を受け、低水温(15℃以下)では硝化速度が著しく低下します。よって、(3)は正しい記述です。

(4)はややマイナーな知識ですが、記述の通りです。硝酸と酸素が両方ある環境下では、通性嫌気性細菌は酸素呼吸を優先してしまい、硝酸を使った脱窒素反応が進みません。そのため、脱窒素工程では酸素の流入をできるだけ抑えることが重要です。よって、(4)も正しいです。

(5)で、(2)の解説で示した化学反応式の通り、脱窒素工程では水素供与体が必要です。ここで、排水中BOD成分を水素供与体として利用することができるので、脱窒素槽は硝化槽の前に設置されます。よって、(5)も正しいです。

以上から、正解は(2)となります。

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