R4年 汚水処理特論 問15 問題と解説

 問 題     

各種の嫌気処理装置に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. イムホフ槽は、消化と沈殿を兼ねた単槽式の処理装置である。
  2. 嫌気ろ床は、付着汚泥及び充塡(じゅうてん)材間隙に捕捉された汚泥を用いる押し出し流れ形の処理装置である。
  3. 嫌気流動床は、粒状担体に付着した汚泥を用いた完全混合形に近い処理装置である。
  4. 上向流式嫌気汚泥床は、自己造粒したグラニュール汚泥による上向流の排水処理装置である。
  5. 二相発酵槽システムは、加水分解や酸生成の反応相とガス生成の反応相を同一槽内で同時に行うメタン発酵システムである。

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説    

(1)は正しいです。イムホフ槽はメタン発酵槽の一種で、記述の通りの特徴を有しています。しかし、これはかなりマイナーな知識であるため、試験本番でこのような見慣れない文章が出てきたらスルーでいいと思います。

(2)と(3)はどちらも正しいです。これらの特徴は選択肢の記述の通りですが、両者の大きな違いとして、固定床を用いるのが嫌気ろ床、流動床を用いるのが嫌気流動床となります。

(4)も正しいです。上向流式嫌気汚泥床はUp-flow Anaerobic Sludge Blanketの頭文字をとってUASBと呼ばれることも多いです。

UASBは、上向流による排水の一過式流入、発生ガスの上昇による穏やかな攪拌下で、自己造粒化したグラニュール汚泥を用いて嫌気処理を行います。ビール工場の排水など、高濃度有機排水の処理に適しているのが特徴です。

(5)が誤りです。冒頭に「二相発酵槽システム」とある一方で、後半では「同一槽内で同時に行う」と書かれています。これでは反応槽が1段になってしまい、2段構えの二相発酵槽といえません。

二相発酵槽システムは、加水分解や酸生成の反応相とガス生成の反応相を分離して行うメタン発酵システムです。つまり、反応槽が2段構えになっています。

以上から、正解は(5)となります。

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