問 題
汚泥の焼却及び処分、有効利用に関する記述として、正しいものはどれか。
- 焼却の際のダイオキシン類の発生を抑制するためには、適正な焼却温度管理(400℃程度)などに留意する。
- 流動焼却炉における下方からの高温ガス送入の空塔速度は、流動媒体の流動化開始速度を超えないように設定する。
- 階段式ストーカーでは、高含水率汚泥に対しては予備乾燥が必要となる。
- 焼却灰の有効利用方法として、炭化してボイラー用固形燃料や発電用燃料としての利用がある。
- 下水汚泥を肥料として取り扱う場合は、鉄、アルミニウムなどの有害成分の許容量に留意する。
正解 (3)
解 説
(1)は温度の数値が誤っています。ダイオキシン類の発生を抑制するためには「850℃」程度の高温が必要です。これは重要事項として覚えておきたい数値です。
(2)に関して、流動焼却炉では炉の中に砂などの流動媒体を入れ、下方から高温ガスを送入して流動化させ、この流動層内に汚泥を供給して燃焼させます。
このときに(2)のように流動媒体の流動化開始速度を超えないようにしてしまうと、流動焼却炉なのに流動が始まりません。(2)の「超えない」を「超える」とすれば正しい文章になります。
(3)に関して、階段式ストーカー炉では、脱水汚泥は炉内に供給され、可動床の往復運動によりストーカー上をゆっくり降下移動し、乾燥、焼却、灰化されます。つまり、(2)の流動焼却炉のように脱水汚泥の攪拌作用がないため、高含水率汚泥に対しては、予備乾燥が必要となります。
(4)で、冒頭にある「焼却灰」は燃え切ったあとの灰なので、これは燃料になりません(これ以上燃えません)。汚泥を炭化してボイラー用固形燃料・発電用燃料として利用することができるので、「焼却灰」を「汚泥」に直せば正しい文章となります。
(5)は有害成分の例として挙げられている物質が誤っていますが、ややマイナーな話なのでこの選択肢はスルーしてもよいかもしれません。
この肥料を使って作られた作物を食べた人・動物に重大な有害性があるかどうかがポイントとなりますが、「鉄、アルミニウム」あたりは多少の摂取で悪影響があるとは考えにくいです。実際には、より有害性の強い「カドミウム、ひ素、水銀、ニッケル、クロム、鉛」に許容量が設定されています。
以上から、正解は(3)です。
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